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知っておきたい、健康診断と人間ドックの違いや両方受ける際のポイント

企業に勤めている従業員が年に1回定期的に受ける健康診断と、よく耳にする人間ドックには、そもそもどのような違いがあるかご存知でしょうか。

今回は、人事労務管理担当者が知っておきたい健康診断と人間ドックの違いや両方受ける際のポイントについてご紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.健康診断と人間ドックの違い、それぞれの特徴は?
  2. 2.健康診断と人間ドックを両方受ける場合のポイント
  3. 3.健康診断と人間ドックの違いを知り、うまく利用していきましょう


健康診断の実施方法や結果の活用については以下のお役立ち資料で解説していますので、ぜひご活用ください。

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健康診断と人間ドックの違い、それぞれの特徴は?

健康診断と人間ドックにはどのような違いがあるのか、それぞれの特徴についてご紹介します。


健康診断と人間ドックの特徴一覧表

健康診断と人間ドックを比較すると、以下のような違いがあります。



健康診断

人間ドック

種類

法定健診

任意健診

目的

・健康状態の把握

・生活習慣病などの病気の早期発見

健康診断では見つかりにくい特定の病気の予防や早期発見

検査項目

10~30項目、少ない

・50項目以上、多い
・カスタムできる

費用

基本的には事業者負担、無料

・基本的には自費
・一部健康保険組合や福利厚生などで事業者負担
・数万~数十万円とオプションによって幅広い

場所

勤務先で指定された医療機関、健康診断をおこなっている医療機関からの選択

人間ドックをおこなっている医療機関から自由に選択             

結果説明

結果表が後日送付

当日または直近で医師による結果説明がある


次項からはそれぞれの目的や特徴について、より詳しく説明していきます。


健康診断(健診)

健康診断とは、身体の健康状態を総合的に確認するプログラムで、略して健診と呼びます。

労働者の安全・健康に配慮した適切な配置のための検査および身体状況の把握、また作業に関連して起こり得る健康障害の早期発見、職場の労働衛生問題の発見などを目的としています。

健康診断は労働安全衛生法第66条に基づき、法的に義務付けられた法定健診です。事業者は労働者に対して意思による健康診断を実施しなければなりません。

また、労働者は事業者がおこなう健康診断を受ける必要があります。健康診断にはいくつか種類があります。


  • 雇入時の健康診断
    雇入れの際に実施
  • 定期健康診断 
    1年以内ごとに1回実施
    対象は常時使用(※1)する労働者(~39歳)
    40~74歳になると高齢者医療確保法により特定健診になるが、事業者の健診項目は特定健診の項目を含んでいるため、事業者健診の結果を特定健診の結果として利用可能
  • 特定業務従事者の健康診断(特殊健康診断)
    配置換えの際、6ヶ月以内ごとに1回実施
    対象は坑内労働、深夜業等の有害業務に常時従事する労働者
  • 海外派遣労働者の健康診断
    海外に6ヶ月以上派遣する際、帰国後国内業務に就かせる際に実施
  • 給食従業員の検便
    雇入れの際、配置換えの際に実施

(※1)常時使用する労働者とは、1年以上使用される予定の者。特定業務従事者の場合は6ヶ月以上使用される予定の者で、1週間のうち所定労働時間数の4分の3以上であること、また4分の3未満であっても概ね2分の1以上である者も健康診断の実施が望ましいとされています。


雇入れ時と一般健康診断の項目は以下の通りです。

雇入れ時の健康診断(安衛則第43条)

定期健康診断(安衛則第44条)

既往歴及び業務歴の調査
自覚症状及び他覚症状の有無の検査
身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
胸部エックス線検査
血圧の測定
貧血検査(血色素量及び赤血球数)
肝機能検査(GOT、GPT、y-GTP)
血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
血糖検査
尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
心電図検査

既往歴及び業務歴の調査
自覚症状及び他覚症状の有無の検査
身長(※2)、体重、腹囲(※2)視力及び聴力の検査
胸部エックス線検査(※2)及び喀痰検査(※2)
血圧の測定
貧血検査(血色素量及び赤血球数)(※2)
肝機能検査(GOT、GPT、y-GTP)(※2)
血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)(※2)
血糖検査(※2)
尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
心電図検査(※2)

(※2):定期健康診断(安衛則第44条)における健康診断の項目の省略基準定期健康診断については、以下の健康診断項目においてそれぞれの基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは省略することができます。


項目

医師が必要でないと認める時に左記の健康診断項目を省略できる者

身長

20歳以上の者

腹囲

1.40歳未満(35歳を除く)の者

2.妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された者

3.BMIが20未満である者(BMI(Body Mass Index)=体重(kg)/身長(m)2)

4.BMIが22未満であって、自ら腹囲を測定し、その値を申告した者

胸部エックス線検査

40歳未満のうち、次のいずれにも該当しない者

1.5歳毎の節目年齢(20歳、25歳、30歳及び35歳)の者
2 .感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている施設等で働いている者

3.じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断の対象とされている者

喀痰検査

1.胸部エックス線検査を省略された者
2.胸部エックス線検査によって病変の発見されない者又は胸部エックス線検査によって結核発病のおそれがないと診断された者

貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、心電図検査

35歳未満の者及び36~39歳の者

引用:労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう


事業者は、健康診断実施後に以下の項目の実施が求められます。


  • 健康診断の結果の記録
    結果は健康診断個人票を作成し、それぞれ定められた期間保存が必要。
  • 健康診断の結果についての医師等からの意見聴取
    結果に基づき、項目の異常所見がある労働者について、医師(歯科医師による健診の場合は歯科医師)の意見を聞かなければならない。
  • 健康診断実施後の措置
    医師等の意見を聞き、必要があると認められた場合には、作業の転換や労働時間の短縮などの措置を行う。
  • 健康診断の結果の労働者への通知
  • 健康診断の結果に基づく保健指導
    健康診断の結果により、健康の保持に努める必要がある労働者に対し、医師や保健師による保健指導を行うよう努めなければならない
  • 健康診断の結果の所轄労働基準監督署長への報告
  • 健康診断の結果は、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない

健康診断の概要については、以下の記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

  【健康診断】会社が把握するべき種類・負担対象・取扱い上の注意点をまとめて整理 労働者が安全かつ健康に働けるよう、企業は定期的に「健康診断」を実施する義務があります。本記事では人事・労務担当者が迷わず健康診断を手配・実施できるよう、健康診断の種類や費用負担の対象者から結果の取扱いまで、必要情報を網羅的に理解できるよう、最低限押さえておきたい情報をまとめて解説しています。 mediment(メディメント)


健康診断と検診は異なる

健康診断を略して「健診」と呼ぶのに対し、同じ読み方の「検診」もあります。

検診は特定の疾患を発見するためにおこなわれる検査で、たとえば乳がん検診、胃がん検診のような各種がん検診、また肝炎ウイルスや結核などの疾患を早期発見するためにおこなわれるものです。

特にがんのように自覚症状がないまま病状が進行するものもあり、定期的な検診によって早期発見することで、治癒する可能性を高めます。

検診は健康診断や人間ドックに加えて受けることができ、自治体によって補助金や助成金が出る場合もあります。


人間ドック

人間ドックは法定健診である健康診断に対して、任意健診という位置づけです。

生活習慣病やがんなどの早期発見を目指し、健康維持を推進する目的のもので、通常の健診に比べて検査項目が多く、さまざまな角度から総合的に身体の異常を調べられます。基本的には費用は自己負担で、自由に検査項目をカスタマイズできるメリットもあります。

たとえば、医療機関によっては「○○ドック」と特定の疾患に沿ったもの、胃カメラやCT検査、MRI検査などでがんを早期発見するものなどさまざまな検査から選択が可能です。

女性特有の疾患や脳に特化した検査、半日や1〜2泊コース、食事やリラクゼーションを含むギフト券などのオプションが加わったコースを提供しているところもあります。


また、事業所によっては指定した医療機関で受ける条件が設けられていたり、福利厚生の対象であったり、健康保険組合によって助成を受けられたりする場合もあります。しかし、その場合には医療費控除の対象外となります。

費用もオプションや最先端技術による検査などを含めると、数万〜数十万円規模となります。


健康診断と人間ドックを両方受ける場合のポイント

健康診断と人間ドックはどちらも受けることが可能です。ここでは、両方受ける際の注意点と、企業として人間ドック認定施設を利用するポイントについてまとめました。


健康診断と人間ドックを両方受ける場合の注意点

従業員からよくある質問を以下に3つピックアップしました。


Q.通常の健康診断を受けつつ、自費で人間ドックを受ける際に注意するべきことはありますか?またどのようなオプション検査を選んだらいいでしょうか?

A.日本人間ドック学会では、人間ドックの品質を保ち全体の質の向上を図るために、健診施設を審査し「機能評価認定施設」として公表しています。日本人間ドック学会のホームページではお近くの認定施設を検索できます。

また、事業者が指定する医療機関の人間ドックを受けることも可能です。その場合には自費で受けるほか、または住まいの市区町村や健康保険組合、企業の福利厚生などによっては補助金や助成金が受けられる場合もあります。

オプション検査の選び方として、身内に病気になった方がいる場合に自身の症状に疑いを感じたことをきっかけに受けるという選択もあります。

また、年齢別に追加しておきたいオプション検査もあります。女性のがんは早い年齢でも発症することがあるため、30歳を過ぎたら定期的に乳がん検診を受けるようにしましょう。

40代になると生活習慣病や慢性病の症状が現れてくることもあります。男女共通の検査としては、大腸内視鏡検査や胸部CT、喀痰細胞診検査、女性はマンモグラフィ、乳房超音波検査、子宮頸部細胞診、骨密度測定などです。

50代以上は、がんや脳卒中、心臓病など、定期的に継続して検査を受けることが重要になります。男女共通の検査には、心臓ドックや脳ドック、男性は前立腺がんのPSA検査(腫瘍マーカー)などがあります。

他にも部位別に胃内視鏡検査、動脈硬化を調べる検査(血管機能検査、血管内皮機能検査、血圧脈波検査、頸動脈超音波検査など)、内蔵脂肪CT検査、PET検査などもあります。


Q.自費で人間ドックを受診した場合、会社で実施される一般健康診断も受けないといけないのでしょうか?

A.事業者の指定した医師または歯科医師がおこなう健康診断以外で受ける場合、規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面(結果の写し等)を事業者に提出すれば再度受ける必要はありません。

しかし、市町村で実施している健康診断のなかには、労働衛生規則第44条で定められている健康診断項目をすべて実施しているわけではありません。

その場合には自らが医療機関で不足する項目を受診し、受診結果を事業者に提出する必要があります。


Q.健康診断や人間ドックは労働時間に含まれますか?

A.一般定期健康診断は、業務遂行に直接結びつくものではないことから、所定労働時間内に実施する義務はありません。ただし、できるだけ労働者の便宜を図るために、所定労働時間内におこなうことが望ましいとされています。

一方で特殊健康診断については所定労働時間内におこなう必要があります。時間外に実施する場合、労働者に割増賃金を支払う必要があります。

人間ドックについても所定労働時間内に実施する義務はありませんが、どのような扱いになるかは労使間の協議によって定めるべきものです。


企業として人間ドック認定施設を利用する際のポイント

企業が人間ドック認定施設を利用すると、以下のようなメリットがあります。

  • 認定施設で受診すると、受診当日に医師から結果説明を受けられる
  • 保健師などの専門スタッフによる保健指導を当日受けられる
  • 受診後にもフォローがある
  • 検査の精度が高い

また、福利厚生(法定外福利)が充実することで、従業員の定着率や満足度、生産性向上などにつながる場合もあるでしょう。企業として健康診断や人間ドックを積極的に実施することで、従業員を大切にする姿勢をアピールできる機会になります。


健康診断と人間ドックの違いを知り、うまく利用していきましょう

まずは健康診断と人間ドックの違いを知り、労働者の適正にあわせた健康診断を実施していきましょう。

そして、健康診断や人間ドックをうまく利用して従業員の健康意識を高め、同時に企業としてのパフォーマンスも向上させていくことが大切です。



健康診断の実施方法や結果の活用については以下のお役立ち資料で解説していますので、ぜひご活用ください。

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mediment(メディメント)は、従業員のあらゆる健康データを一元管理し、産業保健業務の効率化を支援するクラウドシステムです。 クラウドシステムならではの多彩な機能で、あらゆる業務のペーパーレス化を実現し、従業員のパフォーマンス向上に貢献します。

監修者情報

三浦 那美(メディフォン株式会社産業看護師/第一種衛生管理者)

看護師として大学病院の内科混合病院にて心疾患や糖尿病、膠原病などの患者対応業務に従事。その後、看護師問診や海外赴任向けの予防接種を行っているクリニックに転職。これら医療機関での経験を通じ、予防医療やグローバルな医療提供の重要性を感じ、メディフォンに入社。現在は、産業看護師として健康管理システム「mediment」のオペレーション業務やコンテンツ企画を担当。

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