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セミナーレポート「企業の女性活躍推進!『この会社で働きたい!』と思われる取り組み実践法」


目次[非表示]

  1. 1.【第一部】女性の健康課題に取り組む意義
  2. 2.carefullの紹介
  3. 3.【第二部】男性と女性におけるホルモンの変化
  4. 4.働く世代が直面する月経の問題
  5. 5.子宮頸がん検診の重要性

【第一部】女性の健康課題に取り組む意義

第一部では、「女性の健康課題解決のために今企業ができること」というテーマでお話いたします。「carefull」という、女性の健康課題を支援するためのサービスを作っているnanoniの代表、張と申します。よろしくお願いいたします。

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最近よくメディアで「フェムテック」という言葉が出てきますが、その背景には女性活躍推進の重要性が増してきていることが挙げられます。

日本では40年後、労働人口は40%減少すると言われており、この問題を解決していくには1人あたりの生産性を上げるか、今までと違う層を採用しないと企業の労働力は足りなくなります。
しかし、日本における女性活躍の場はまだまだ限定的です。

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表の下から見ると、日本の就業者に占める女性比率は4割を超えていて、欧米と比べても格差がなくなってきています。
一方で、管理職と役員に占める女性比率は欧米と比べて大きな差があり、役員になるとほとんど女性が残らないような状況です。

女性の働く環境を考える上で重要になるのが、健康課題です。

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例えば月経は1ヶ月に1回、1週間ほど月経やPMSの影響を受けてパフォーマンスが落ちると考えると、年間で最大3ヶ月ほど月経の影響を受けていることになります。次にライフステージが進み、不妊治療を理由に離職する女性は5人に1人です。管理職になる世代である40代になると、約2人に1人が更年期という課題に直面します。

更年期症状が出ると、様々な体調の変化から昇進を辞退する、ないしは考える女性も4割ほどいらっしゃいます。こうした女性の健康課題が労働生産性に及ぼす影響を試算すると、17%程度の女性がなにかしらに悩んでいるのです。

労働生産性の損失という観点でも、平均すると1人100万円ほど生産性が落ちていて、国内では年間5兆円にものぼると言われています。


一方で、女性の健康課題への支援はまだまだこれからという状況です。どうしても企業様だと健康診断やストレスチェックなど法律で義務化されたところからの対応になってしまい、女性の健康課題への対策はできていません。

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ただ、最近では政府も非常に力を入れて、企業様が取り組むインセンティブを一生懸命作っています。去年から人的資本の情報開示が義務化されたり、健康経営という視点では女性の健康への取り組みが加点項目になっていたりします。
さらに、今年は賃上げ税制が発表され、女性活躍にまつわる取り組みをしていると最大で5%の優遇措置が受けられるようになりました。


carefullの紹介

carefullでは、「女性活躍推進に取り組みたいけどどこから手を付けたらいいのかわからない」というお悩みに対するコンサルティングサポートと、プラスアルファで施策化までワンストップで提供しております。

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近年、女性の健康課題への取り組みを検討し始める企業様が徐々に増えてきています。その中で、「男性が多い会社なので女性向けの施策の打ち出しが難しい」とのお声をいただくこともありますが、企業様の社内に展開する際は、「女性の」という言葉は絶対に使いません。

その代わりに、「ダイバーシティ推進」や「性と生殖の健康課題にまつわる福利厚生のサービス」というような、企業様の目的に合わせた言い換えをしております。

また、女性の健康課題を女性当事者だけの問題にしないのも非常に重要です。管理職向けの研修からスタートして、社内の風土醸成からご一緒させていただくことも多いです。

もう一つ重要なポイントは、男性不妊症や男性更年期など、男性向けの健康課題もカバーすることを意識しております。ですので、管理職や男性の悩みもあると総合的に伝えていくことで、より包括的に、皆さんに意識や興味を持ってもらうことを意識して取り組んでいます。


では女性の健康課題解決に取り組んだ結果、どのようなメリットがあるのか、具体的な事例をもとにご紹介します。

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まず一つは、労働生産性の改善が挙げられます。一番数値化して測りやすい指標ですので、企業様としては短期的なKPIにも起きやすいです。
もう一つのメリットは、社内風土の改善が期待できます。ポイントとしてはセミナーを1回で終わらせるのではなく、継続させることが重要です。

女性の健康課題や活躍推進への取り組みはまだまだ始まったばかりですが、政府の注力分野にもなっています。ある企業様の取り組みが始まると、取り組んでいない企業様との差がどんどん開き、中長期的には採用のしやすさに繋がっていくと思いますので、いち早く取り組んだ方が採用や企業PRのメリットも受けやすいのかなと思います。


【第二部】男性と女性におけるホルモンの変化

第二部ではミニセミナーとしまして、「働く世代が知っておきたい健康課題の基礎知識」をお話します。carefullの医療アドバイザーを担当しております、産婦人科医の竹田将人と申します。よろしくお願いいたします。

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以下のスライドは、男性ホルモンの年齢ごとの分泌量のグラフです。

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男性は20~30代頃の青年期から非常に高い値を保っていて、日々の変化も少ないと言われています。男性ホルモンは人により様々ですが、70歳頃まで高い値を保つことが多いです。

40代など比較的早い時期に男性ホルモンが減ると、男性更年期障害と言われる女性の更年期障害に似た、不眠、不安、頭痛などの症状が現れてきます。

また、男性ホルモンと女性ホルモンは男女ともに体内で分泌されていますが、男性の場合、40代頃から女性ホルモンが減りはじめると言われています。

女性ホルモンは脂質異常症に対して非常にいい働きをしますので、男性は30~40代の若い頃から日々の食事の油の量には注意しましょう。


一方、女性ホルモンは非常に変化が大きいです。

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10代前半の初経を迎えたころから性成熟期と言われる20~40代は、女性ホルモンが非常に多く分泌されます。月経周期や妊娠においても大きな変動があります。

一般的には、50代を中心に非常に多くの方が急激な女性ホルモンの減少を経験します。
女性ホルモン=エストロゲンの大きな変化が多くの女性に起こり、更年期障害と言われる多岐に渡る症状を及ぼします。


働く世代が直面する月経の問題

女性が生涯を通じて経験する月経の回数は、450回以上と言われております。対して、100年ほど前までの月経回数は50回程度だったそうです。当時は初経の年齢も16歳程度と遅く、出産回数が5~7回と多かったことが月経の少ない背景として挙げられます。

現在の女性は、生涯で450回以上もの月経があるなか、月経随伴症状に悩む方が多いです。主な症状を、スライドの右側に示しています。

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また、アンケートでは女性の約6割が月経随伴症状が仕事に影響を与えると回答しています。
ただ、実際に産婦人科を受診した方は全体で10~30%程度です。産婦人科に行くのに精神的な抵抗がある、月経が重いことを病気だと思っていない、長期的な月経随伴症状は不妊症になる可能性があるという知識がないなどが主な課題です。


2021年におこなわれたアンケート調査では、月経の不快な症状がある際の仕事の自己評価は、通常10点としたときに平均6.35点と、40%も低下することがわかっています。1月あたりですと、約5日弱、パフォーマンスの低下を自覚しています。

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男性や月経の症状があまりない方々にはイメージがつきにくいかと思いますので、症状の一部をご紹介します。

生理2~5日前になると気分が落ち込んで物事になかなか集中できない、生理が始まるとナプキンの管理が大変でそれを気にしながら会議に出なくてはいけない、生理期間中は薬を飲んでも常に下腹部痛がある、休日は長い時間横になって過ごす…などの症状がある方も多くいます。

陰でこういった症状を抱えている人がいることは、注目すべきです。女性に対する啓発としては、やはり早めに病院を受診いただきたいと思います。

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子宮内膜症は、10人に1人と頻度が高い疾患です。月経で流れ出るはずの子宮内膜がお腹の中で発育してしまうとだんだん悪くなっていく、進行性の慢性疾患です。一番大きな影響としては、自然妊娠が困難なくらいの重症な不妊症を引き起こすおそれがあります。


月経困難症の治療は多岐にわたります。痛みの原因をしっかり診た上でお薬を使うことで、更年期障害を含む8~9割の方が症状が軽くなるというデータがあります。

病院で処方されるお薬は低用量ピルや漢方薬が代表的ですが、子宮内黄体ホルモン放出システムなども非常に有用です。

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低用量ピルとは、保険適用の場合は月経困難症の治療に使われます。避妊効果は非常に高く、将来の妊娠の可能性も下がりません。内服を辞めてから3ヶ月以内には月経が再開し、妊娠可能になります。低用量ピルは多くの方に非常に有用な治療です。

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子宮内黄体ホルモン放出システム(ミレーナ)は、主に月経困難症に非常に有用な手段です。

子宮内に黄体ホルモンを5年間放出するお薬で、月経随伴症状の改善に効果があり、手術などは必要ありません。外来で数分の処置で挿入、除去ができます。ピルとは違い、内服の手間が不要ですので、飲み忘れ等の心配はありません。


また、将来の妊娠に影響もなく、ピルの半年~1年分の治療代で5年間入れられますので、長期的、もしくは今後一切妊娠の希望がない方におすすめです。


子宮頸がん検診の重要性

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日本の子宮頸がん健診の受診率は43.7%と、他の国に比べると低いです。2004年から20歳以上が接種の対象になりましたが、なかなか受診率が上がっていません。子宮頸がんにもっともかかりやすい年齢は30代後半になってきていて、若年化が進んでいます。子宮頸がん検診の受診率の低さは、日本人の子宮頸がんによる死亡率の高さに直接繋がっています。

大体4クラスに1人が子宮頸がんにかかり、10クラスに1人が亡くなっている計算になりますので、子宮頸がん検診は必ず2年に一度受けるようにしてください。


また、HPVワクチンは2021年11月より、厚生労働省から積極的推奨が再開されています。対象者は小学6年生から高校1年生の女子です。2025年3月まではキャッチアップ接種という形で打ち損じた世代の方にも無料で打てますので、ご家族やお知り合いの方で悩まれている方がいましたらおすすめいただけますと幸いです。

子宮頸がんワクチンで重篤な副作用があることはありませんので、ご安心ください。

以下のスライドは、子宮頸がんが発生する過程を示したものです。

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子宮頸がんの99%は、HPV(ヒトパピローマウイルス)が原因です。HPVは性交渉によって子宮頚部の細胞に感染します。健康な女性がウイルスに感染しても、90%は一過性の感染で終わり、2年以内に体内からウイルスは自然排除されます。

HPVはがんとなるまで症状は一切なく、顕微鏡で見てようやくわかる非常に怖い病気ですので、予防の意味合いが非常に強いです。HPV感染は本当にありふれていて、性交渉の経験人数が3人いれば、100%感染していると言われますので、性交渉経験のある方は全員検診が必要です。


そして、HPV感染はコンドームでは防ぎきれず、固定のパートナー様がいらっしゃる場合には基本的には共有されております。HPVワクチン接種や検診をしっかり受ければ、子宮頸がんは死ぬ人をゼロにできる、廃絶できる病気だとWHOから発表されています。ぜひ本日はこの知識を持って帰っていただき、適切なワクチン接種、検診につなげていただけますと幸いです。

本日はありがとうございました。

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mediment(メディメント)は、従業員のあらゆる健康データを一元管理し、産業保健業務の効率化を支援するクラウドシステムです。 クラウドシステムならではの多彩な機能で、あらゆる業務のペーパーレス化を実現し、従業員のパフォーマンス向上に貢献します。

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