健康投資が個人・企業にもたらすメリットを解説!効果の見える化に取り組む意義も
資料DL「企業内担当者向け 『健康経営』の実践において 知っておくべき8つの ポイント」
企業の成長や従業員の健康づくりに重要な「健康投資」。
「投資」と聞くとどのようなイメージがあるでしょうか?「投資=お金」だけでなく、健康維持・増進のために時間や労力を「投資」することを健康投資といいます。
平均寿命が延びている今、健康投資への取組みは企業や個人にとって大きなメリットがあります。
この記事では、「健康に投資することがなぜ大切なのか」「健康投資をすることで得られるメリットは何か」など、実際に健康投資に取り組んでいる企業事例も含めて詳しく解説します。
目次[非表示]
健康投資とは?手軽に始められる健康投資の魅力
「健康投資」とは、時間や労力を健康のために用いることです。近年、適度な運動・病気の予防・食生活の改善など、健康への意識が高まっている人が増加しています。
「投資」と聞くとお金をイメージしやすいですが、健康投資はお金ではなく健康に意識を向けることを目的としています。
健康への投資は、個人はもちろん企業においても人材確保のため、将来に向けた重要な取組みとなるでしょう。
企業で健康投資を行うことで、社員がいきいきと働け、企業の業績アップにも期待できます。
健康投資に欠かせない「健康寿命」への意識付け
健康投資を考えるうえで、「健康寿命」への意識付けが欠かせません。
「健康寿命」とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことをいいます。近年では、平均寿命と健康寿命がともに延びています。
厚生労働省「統計情報・白書」より引用
しかし、平均寿命と健康寿命との差は縮小していません。つまり、平均寿命が延びたとしても、健康寿命との差が縮まらなければ、これまでと同様に健康で過ごせる期間は変わらず、ご本人も介護する方にとっても日常生活に負担がかかる現状と変化がありません。
その結果、医療費・介護費にかかる負担が個人にも企業にも大きく影響する状況を打開できません。
膨らみ続ける医療コスト
では、具体的にどの程度の金額が医療費として使われているのでしょうか。
人が生きている間にかかる医療費(生涯医療費)は1人2800万円、そのうち70歳以上に半分の1400万円かかると推計されています。
70歳以上は仕事も退職している人が多く、働くことが難しくなる年代。将来の医療コストを抑えるためにも、できる限り早い段階から「健康投資」を行うことが重要な対策になるといえるでしょう。
日本は健康投資への意識が低い
健康投資に関して、海外と日本とを比較してみましょう。日本は他の先進国7カ国と比べ、健康づくりにお金をかける意識が低い傾向にあります。
上記の調査データからも分かるように、日本の健康投資に対する意識の低さは一目瞭然。
近年では日本でも、健康に関するさまざまな取り組みが実践されつつあります。が、健康寿命を延ばすためにも、世界一の長寿国家として「健康投資」への意識をさらに高めることが重要でしょう。
国全体でみれば医療費コストの抑制につながり、個人視点でみれば老後を健やかに過ごせる期間が長くなります。健康への投資は、それだけメリットが大きい取組みだといえるでしょう。
企業にもたらされる「健康投資」の効果
近年、健康診断の実施だけでなく、さまざまな角度から従業員の健康を維持・促進するための取り組み(健康経営)を実施している企業が増加しています。
健康経営については、以下の記事で解説しています。
企業が経営視点から健康投資を行うことは、どのような効果があるのでしょうか。3つご紹介します。
1.生産性の向上・離職率の低下
健康投資によって従業員が「健康」な状態で労働できるようになると、モチベーションや活力の向上につながります。
「健康」に重きをおいた社内環境整備を実施すれば、結果的にワークライフバランスも取りやすくなり、不調状態と比べて業務効率もアップします。
業務効率が上がることでさらに残業時間の軽減や削減につながるなど、多くの好循環をもたらします。
また、職場が活性化し従業員が生き生き働けるようになると、仕事に誇りを持ちやりがいを感じ仕事を行えるため、離職率の低下にもつながります。
2.企業イメージの向上・採用コストの軽減
従業員の健康づくりを積極的に行う「健康投資」への取組みは、社内・社外のイメージが向上する可能性が高まります。
また、就職活動で学生のディスカッションで健康経営の話題が上がるほど、近年では健康投資を行っている企業かどうかが注目される傾向にあります。
積極的に健康投資に取り組んでいる企業は信用や信頼を得られやすく、結果的に優秀な人材が集まりやすくなります。従業員の定着率も改善し、新規採用コストの軽減も期待できるでしょう。
3.企業が負担する医療コストの削減
企業では、従業員の社会保険料の半分を負担するため、体調不良の従業員が病院へ通院する頻度が増えれば、企業が負担する医療費も増加してしまいます。
健康投資を行うことで従業員の受診・通院回数を軽減できるため、企業が負担する医療コストの削減も可能になるでしょう。
企業が従業員に推進できる健康投資
企業にとって多くのメリットがある「健康投資」ですが、手軽に始められる取り組みが多いです。
- 運動する機会を増やす取り組み
- 従業員への健康診断の受診勧奨
- 禁煙プログラムの実施
- 栄養バランスを意識した社食の提供
- 心身の不調時の早期受診勧奨、産業医との連携
など、どのように健康投資に取り組めるのか、具体的な健康投資の取り組み事例も一緒にご紹介します。
運動機会の確保・イベント開催
スポーツ庁が示した調査結果によれば、運動不足が原因で毎年5万人が死亡しているとのデータが出ています。
適度な運動やスポーツの習慣化は生活習慣病などの予防につながり、死亡リスクの軽減が期待できるでしょう。
個人で運動を行うこともできますが、企業発信で運動する機会を設けイベントの開催などを取り入れている企業もあります。
1.株式会社「弘」
株式会社「弘」では、アルバイトを含めた全社員参加による運動会を年に1回開催しています。
イベント開催により、コミュニケーションの活性化にも役立っているという声もあり、運動面と人間関係と、どちらにも好作用をもたらす取組み事例でしょう。
2.株式会社「エイジェントヴィレッジ」
エイジェントヴィレッジでは、就業中にフィットネスタイムを設け従業員の健康づくりに取り組んでいます。
朝礼時のストレッチタイム、ウェルネスタイムの実施(15時から15分間、テレワーク中のフィットネス)、ウォーキングイベントへの参加など、健康投資を見据えた活動を積極的に取り入れています。
企業から従業員への定期的な健康診断の受診推奨
生活習慣病は自分が気付かないうちにガンや心疾患、脳卒中など深刻な病気を引き起こす可能性が高くなります。
日本では、生活習慣病によって引き起こされる病気で亡くなる人が、死因の半数以上を占めています。
厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」より引用
早期発見・早期治療を行うため、また予防するためにも定期的な健康診断や人間ドックを受診することはとても重要です。企業からの積極的な声がけや受診を推奨しましょう。
企業発信の禁煙プログラムを実施
喫煙は心疾患による死亡率や脳卒中の発症率が高くなり、1日の喫煙量が多いほど増加します。
若年で喫煙を始めた場合、壮年期になってからの健康への影響は深刻になることは明らか。さまざまな呼吸器疾患や、ガンの発症リスクも高くなります。また、受動喫煙によって周りの人にも健康への害を及ぼすリスクもあり、嫌煙家にとって大きなストレス要因にもなってしまいます。
企業としての健康投資を検討するうえで、禁煙プログラムは導入メリットの大きい取り組み例でしょう。実際に禁煙プログラムを行っている企業の事例をご紹介します。
1.社会福祉法人大洲育成会
受動喫煙対策に関する取り組みとして、敷地内を全面禁煙化。喫煙者と非喫煙者を完全に分けることで、少なくとも就業時間中の禁煙習慣の促しへつながっています。
施設の利用希望者も巻き込んで協力し合うことで、全面禁煙を実現させています。
2.有限会社「新郷運輸」
協会けんぽ企画の「禁煙チャレンジ」に会社から12人参加。参加者1人につき2人のサポーターがつき応援しています。
会社からは禁煙グッズが配布され、補助制度として禁煙パッチを購入。また禁煙外来の受診費用を会社が一部負担し、禁煙達成者には奨励金を支給しています。
会社で禁煙に取り組むことで、完全にやめられなくても吸わない時間を増やしたり、4人の社員が禁煙に成功したりしています。
栄養バランスを考慮した社食提供
健康経営優良法人の評価項目でも「食生活の改善」への取り組みが含まれています。
厚生労働省による、栄養バランスに配慮した食生活を実践しているか調査したところ、若い世代を中心にバランスの取れた食事が取りにくくなっている状況が見られました。
健康寿命を延ばすためにも、栄養バランスが整った食事は大切です。若い世代が栄養バランスを整えた食事を取る実際的な方法として、栄養バランスを考慮した社食提供を行えるでしょう。
従業員等の健康に配慮した食育推進を行っている企業の事例として、社内に設置したカフェでのバランス朝食と定期的な食育研修を実施したり、本社食堂でヘルシーランチやスマートミール弁当を提供したりしている企業もあります。
健康投資に欠かせないバランスのよい食生活を送るため、多くの企業がさまざまな工夫をして取り組んでいます。
不調時の早期受診勧奨・産業医との連携
重度のストレス状態を放置してしまうと、心身の病気を発症するリスクもあり、働けなくなるケースもあります。
心身の状態に不調を感じた際、
- 企業から病院の早期受診をすすめる
- 産業医と素早く連携する
などの仕組み化が実現できれば、早期発見・早期治療・予防の徹底が可能になります。健康づくりにおいて、不調時の早期受診推奨はとても重要。会社全体で「健康」を重要視した選択ができる社風を築くことが重要です。
健康投資の見える化へ:経産省「健康投資管理会計ガイドライン」とは
健康への「投資」に関する取り組みを見える化するために「健康投資管理会計ガイドライン」を経産省が公開しました。
ガイドラインにはどのような目的があるのかご紹介します。
健康投資管理会計ガイドラインの目的
健康投資管理会計ガイドラインは、企業における健康経営の取り組みをさらに促進することを目的とし策定されました。
主に、健康経営に取り組み始めており、効果分析や評価方法を模索している企業の利用によって、健康経営の効果的な実施や市場との対話が可能になることを想定しています。
健康投資管理会計ガイドラインの作成には、以下の2つのメリットがあります。
- 内部機能(健康経営をより継続的かつ効率的・効果的に実施できる)
- 外部機能(健康経営の取り組み状況について外部と適切に話すことができるため、さまざまな市場から適切な評価を受けることにつながる)
詳しい内容を解説します。
対象企業
上記で述べたように、ガイドラインの対象企業となるのは、すでに健康経営に取り組んでおり効果分析や評価方法を模索している企業が対象です。
健康経営の取り組みをさらに促進することがガイドラインの目的とされています。
健康経営を始めていない企業や始めたばかりの企業は、企業の健康経営ガイドブックや健康経営度調査票を活用し、PDCAサイクルの意識など健康経営の基礎的な考え方を参考にして健康経営に取り組めるでしょう。
健康投資を見える化するメリット
健康投資の見える化で得られるメリットをご紹介します。
「効果が見えにくい」という課題の打開
健康投資や健康経営の概念には、「効果が見えにくい」「実感しにくい」という課題があります。
しかしガイドラインを活用することで、数値として判断できるため個人も企業も健康をよりよくするための合理的な判断や行動をとる助けになり、課題への打開策を期待できるでしょう。
企業成長に向けたPDCAサイクルに活用しやすい
健康投資の効果を定量的に判別できることで、企業成長に向けたPDCAサイクルを回す際の重要な材料として活用できるようになります。
企業価値の向上や社会的価値の向上にもつながり大きなメリットとなるでしょう。
健康投資は個人にも企業にもメリットあり!
健康寿命を延ばすために推進されている「健康投資」。従業員の健康づくりを考えて、将来に向けて健康に投資することは企業にも有益な取り組みです。
また、平均寿命が延びている中で、退職後も健やかに過ごすために個人として健康に投資することも有益です。
取り組めることから考えて、企業の成長や個人の健康増進に活かしましょう。
資料DL「企業内担当者向け 『健康経営』の実践において 知っておくべき8つの ポイント」