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生理休暇とは法律が定める休暇! 取得要件や就業規則の作成ポイントなどを解説

法律で定められた「生理休暇」は、全ての女性労働者が取得できるにもかかわらず、取得率はわずか0.9%です。

本記事では人事労務担当者に向け、生理休暇の概要や取得要件、有給か無給かを含む就業規則の作成ポイント、取得率を上げる対策などを解説します。


目次[非表示]

  1. 1.生理休暇とは? 法律内容や取得要件を解説
  2. 2.生理休暇の給料や期間は?  就業規則の作成における3つの注意点
  3. 3.生理休暇の取得率は0.9%と低い! 原因は「言い出しにくいから」
  4. 4.生理休暇の取得率向上に繋がる環境整備のポイント
  5. 5.生理休暇とは法律で定めた休暇! 取得率向上が企業成長に繋がる



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生理休暇とは? 法律内容や取得要件を解説

約75年前から法律で認められている「生理休暇制度」。まずはその制度内容と取得要件を解説します。


生理休暇は労働基準法で定められた「法定休暇」

生理休暇は労働基準法の第68条で定められた制度で、「法定休暇」に該当します。

(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)

第六十八条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

引用:労働基準法|e-Gov法令検索


会社の就業規則などに関係なく、女性であれば誰でも生理休暇の取得が可能です。会社側は、取得要件を満たした労働者からの申し出を拒めないため注意しましょう。


生理休暇の取得要件とは? 対象者には契約社員やパートも含まれる

労働基準法にあるとおり、「生理日の就業が著しく困難な女性」が取得対象者です。

生理日において下腹痛、腰痛、頭痛などにより就業が困難な場合、従事している業務を問わず休暇を請求できます。

また、女性労働者であれば正社員はもちろん、契約社員やパート、アルバイトといった非正規雇用労働者も請求可能です。

ただし、生理休暇は労働者本人が請求することを条件としているため、会社側は請求がない限り生理休暇を与える必要はありません。


生理休暇に診断書の提出は必要なし! 当日に口頭での請求も可能

生理休暇を請求する際に、原則として医師による診断書の提出は必要ありません。生理は突発的に起こり得る生理現象であるため、当日に口頭での請求も可能です。

ただし「生理日の就業が著しく困難な場合」の休暇であり、単に生理であることだけで認められるものではないことを、普段から社内に周知するようにしましょう。


生理休暇の給料や期間は?  就業規則の作成における3つの注意点

人事労務担当者のなかには、次のような疑問を持っている方がいるかもしれません。

  • 生理休暇の取得期間は無給? 有給?
  • 生理休暇の期間に上限はあるのか?
  • トラブルを防ぐために就業規則に記載した方がいいことは?

上記を含め、就業規則を作成するときの注意点を3つ解説します。


1.就業規則には「生理休暇」についての記載が不可欠

	①モデル就業規則(R4.11)_絶対的必要記載事項

引用:厚生労働省「モデル就業規則(令和4年11月版)」


上記(1)~(3)は「絶対的必要記載事項」といい、就業規則に必ず記載するように定められています(労働基準法 第89条)。

生理休暇をはじめとする法定休暇(1)に含まれますので、その内容を就業規則に明記しましょう。


2.生理休暇が無給か有給かは会社ごとに決め、就業規則に定める

生理休暇を取得している間の給料について、有給とするか無給とするかは会社独自で決められます。

厚生労働省の令和2年度雇用均等基本調査によると、生理休暇中の賃金を「有給」とする事業所の割合は 29.0%で、そのうち65.6%が「全期間100%支給」という結果が出ました。

	②モデル就業規則(R4.11)_生理休暇賃金

引用:厚生労働省「モデル就業規則(令和4年11月版)」


仮に有給とする場合は、上記のように「通常の賃金を支払う」「基本給の〇%を支払う」などと就業規則に記載するとよいでしょう。できるだけ具体的に定めることで、労働者とのトラブルを未然に防げます。


3.生理休暇の期間に制限を設けてはならない・取得単位もさまざま

就業規則やその他により、生理休暇の日数を限定することはできません。生理期間やその間の苦痛の程度、就労の難易は個々人によって異なるためです。

また労働者は1日単位、半日または時間単位で生理休暇を請求できます。

ただし不正利用を未然防止するためにも、正常な月経における周期や出血期間などを把握しておきましょう。


<正常な月経の場合>

  • 周期:25日~38日
  • 出血期間:3日~7日
  • 経血量:20~140ml(個人差有)


上記は“正常な月経”のデータであり、なかには「過長月経」や「生理不順」といった月経異常を抱えている人もいます(※)。

会社側は、労働者本人の申し出に合わせて適切に対応しましょう。

(※)参考:働く女性の健康応援サイト「月経について」


PMSでも生理休暇を取得できる企業もある! 会社ごとに取り決めを

PMSとはPre Menstrual Syndromeの略で、日本語では「月経前症候群」と呼ばれています。症状および特徴は次のとおりです。

  • 生理開始の3~10日前から心身の不快症状が始まる
  • 下腹部痛や頭痛、肩こり、集中力の低下、イライラ、うつ状態など症状はさまざま
  • 生理が始まると症状が軽快、消失する


経済産業省の調べによると、女性特有の健康課題や症状により勤務先で困った経験をしたことがあると答えた女性労働者のうち、「PMS」を理由に挙げる割合は43%にものぼります。


	③女性従業員が抱える健康課題と仕事への影響

引用:経済産業省「健康経営における女性の健康の取り組みについて」


こうした実情を踏まえ、PMSでも生理休暇を取得できるよう就業規則を整備している企業もあります(※)。

自社の健康課題に応じて細部を調整し、ルールを作り上げていくと良いでしょう。

(※)厚生労働省の参考事例:株式会社桃谷順天館


生理休暇の取得率は0.9%と低い! 原因は「言い出しにくいから」

女性労働者の約5割が女性特有の健康課題により職場で困った経験があると回答し、その理由の多くが「月経関連の症状や疾病」によるものです。

しかし厚生労働省の「令和2年度雇用均等基本調査」によると、生理休暇を請求した割合はわずか0.9%となっています。

全国労働組合総連合女性部の調査では、生理休暇が取得できない(しない)理由は次のようになりました。


  • 苦痛ではないので必要ない 36.7%
  • 人員の不足や仕事の多忙で職場の雰囲気としてとりにくい 28.7%
  • はずかしい、生理であることを知られたくない 19.2%


センシティブな問題な上に人手不足も相まって「言い出しにくい」というのが、取得率を下げる主な原因といえるでしょう。


生理休暇の取得率向上に繋がる環境整備のポイント

経済産業省の調査では、女性の月経随伴症状(腹痛、眠気、イライラなど)による労働損失は4,911億円にも及ぶとされており、女性が健康的に働ける環境を整えることは重要な課題です。

生理休暇の取得率アップも女性の働きやすさに繋がるので、ご紹介する5つの職場改善ポイントを参考に、自社で取り組んでみましょう。


会社の環境整備①生理休暇制度の周知

生理休暇が法律によって定められた休暇制度だと知らない女性労働者の場合、「会社に制度があるか分からないから取得してない」という状態になりかねません。

まずは、女性なら誰でも取得できる法定休暇だと周知する必要があります。また、管理職が就業規則に明示された生理休暇の自社ルールを把握することも大切です。

生理休暇制度を正しく理解し運用してもらうためにも、社内のイントラやチャットツールなどを活用して定期的に情報提供をおこないましょう。


会社の環境整備②男女対象の生理研修を実施

生理休暇を取得しやすくするには、「職場の理解」も重要です。

月経のない男性や月経随伴症状が軽い女性のなかには、「甘えじゃないの?」「休暇が取れてズルい」といった否定的な意見を持つ人も少なくありません。

加えて、「理解したいけど、聞きづらい」という理由からコミュニケーション不足に陥りやすく、職場内でわだかまりを発生させてしまう可能性があります。

互いの立場を理解し合うためにも、「男女対象の生理研修」など女性と男性のリアルな意見をディスカッションできる場を設けると良いでしょう。

健康問題で悩む人とサポートする人との間で、前向きに助け合える職場環境を作ることが大切です。


会社の環境整備③ヘルスリテラシー向上に取り組む

	④ヘルスリテラシー

引用:日本医療政策機構「働く女性の健康増進に関する調査2018」


ヘルスリテラシーが高い人の方が、PMSや月経随伴症状などによって仕事のパフォーマンスが下がる割合が低くなるという調査報告があります。

ヘルスリテラシーを高めることで女性特有の症状に対処しやすくなるため、経営者や管理職、労働者ともに女性の健康について理解を深めるのが望ましいでしょう。


<取り組み事例>

  • 女性特有の健康課題や女性に多い症状に関する研修会の実施
  • 健康課題に関する啓発冊子の配布
  • 社内ポータルサイトでの健康情報掲載
  • オンラインを利用したワークショップ、動画の配信


正しい知識を学ぶことで、男性労働者や管理職も女性労働者への接し方を知ることができます。


会社の環境整備④ネーミング変更・利用用途を伏せた休暇申請

労働者が休暇申請をしやすいよう、目的を限定しない休暇制度を導入したり、制度のネーミングを工夫したりするのも有効な手段です。

例えば株式会社サイバーエージェントでは、女性特有の体調不良や不妊人治療の通院などのための特別休暇、有給休暇など女性労働者が取得する休暇を全て「エフ休(エフ=FemaleのF)」と呼んで運用しています。

さらに、人事部以外には利用用途を明かさずに休めるようになっているのも大きな特徴です。

条件整備を進めるとともに、休暇制度が利用しやすくなるような工夫を心がけましょう。


会社の環境整備⑤相談窓口の設置・産業医との連携

産業医やカウンセラーなど専門家による相談窓口を設置すると、女性労働者が体調不良や生理休暇の取得について相談しやすくなります。

また、男性管理職のなかには「女性特有の症状に的確にアドバイスが出来ない」などの悩みを持つ人も少なくありません。

相談窓口の設置は、管理職が女性部下の不調にどう対処したらいいかを相談できる場にもなります。

労働者の健康管理を効果的におこなうためにも、医師免許と産業保健に関する専門知識を併せ持つ「産業医」との連携を図ると良いでしょう。



女性労働者の健康管理を効果的におこなうには、健康セミナーの実施や産業医との連携が有効です。

産業医を選ぶ際のポイントについては、以下のお役立ち資料で詳しくご紹介していますのでぜひご活用ください。

>>>資料ダウンロード(無料):自社に合う産業医を選ぶために知っておきたいこと

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生理休暇とは法律で定めた休暇! 取得率向上が企業成長に繋がる

生理休暇は法律で定められている制度であり、女性労働者なら雇用形態や従事している業務を問わず休暇の請求が可能です。

しかし生理休暇の取得率はわずか0.9%(2020年)で、月経随伴症状による労働損失は4,911億円にも及ぶとされています。

働く女性が増えるなか、生理休暇制度を正しく理解し運用することは企業成長に繋がるでしょう。


女性の働き方については、以下のお役立ち資料でも詳しく解説しています。

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mediment(メディメント)は、従業員のあらゆる健康データを一元管理し、産業保健業務の効率化を支援するクラウドシステムです。 クラウドシステムならではの多彩な機能で、あらゆる業務のペーパーレス化を実現し、従業員のパフォーマンス向上に貢献します。

監修者情報

三浦 那美(メディフォン株式会社産業看護師/第一種衛生管理者)

看護師として大学病院の内科混合病院にて心疾患や糖尿病、膠原病などの患者対応業務に従事。その後、看護師問診や海外赴任向けの予防接種を行っているクリニックに転職。これら医療機関での経験を通じ、予防医療やグローバルな医療提供の重要性を感じ、メディフォンに入社。現在は、産業看護師として健康管理システム「mediment」のオペレーション業務やコンテンツ企画を担当。

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