
健康診断の結果はデータ化するべき?主な方法とメリット、注意点
健康診断の結果をデータ化するべきなのか、メリットや注意点が分からず、毎年すぎていませんか?
今回は健康診断の結果のデータ化を考える際に重要な視点をお届けします。
本記事では、データ化の方法、具体的なメリット、そして注意点を詳しく解説します。
業務効率化やコスト削減を実現するために今何が必要なのか、具体的に見ていきましょう。
健康診断の結果は原則電子申請が義務化
2025年1月の法改正により、健康診断の結果は原則電子申請が義務化となりました。これにより、これまで紙で提出していた定期健康診断結果報告書をオンラインで提出する必要があります。
近年、政府が進める「コラボヘルス」の取り組みもあり、健康診断の結果をデータ化することが推進されているという背景があります。健康経営という観点からも、データの電子化は業務効率の向上に寄与します。
まず、ここでは健康診断の電子申請の義務化について詳しく見ていきましょう。
2025年1月1日以降、労働安全衛生法における手続きの一部が原則電子申請の義務化となりました。
電子申請の義務化は、労働者の健康管理の徹底と労働安全衛生法に基づく報告義務の正確な履行を目的としています。
この電子申請義務化の対象となる手続きや報告は、色々とあります。
労働者死傷病報告、健康診断結果報告、安全衛生管理者の選任報告などがありますが、定期健康診断の結果報告も含まれています。
定期健康診断の結果報告が義務付けられている事業所は、常時50人以上の労働者を使用する企業です。会社として、この電子申請の対応が求められています。
ただし、電子申請が困難な場合には、当面の間、紙媒体での報告が認められる経過措置が設けられています。
出典: 「労働安全衛生関係の一部の手続の電子申請が義務化されます」 (厚生労働省)
健康診断の結果をデータ化するメリット
では、このような法改正の流れがある中で、健康診断の結果をデータ化するメリットは何があるのでしょうか?
実は、業務が効率化されるだけでなく、コスト削減や健康管理の質向上にもつながります。具体的に見ていきましょう。
業務効率の向上
健康診断の結果をデータ化するメリットの一つは、業務効率の向上です。健康診断結果をデータベースで管理することで、必要な情報をすぐに見つけられるようになり、検索・分析が容易になります。また、データの分析も迅速に行えます。
次に、事務作業の工数削減というメリットもあります。紙媒体で行っていた仕分けやファイリングなどの作業が不要となり、事務作業の工数が大幅に削減されます。その分、他の重要な業務に時間をとれるようになります。
コスト削減
コスト削減も、データ化の重要なメリットです。
従来、複数拠点を持つ企業やテレワークを導入している企業では、紙の資料をPDFにして印刷し、郵送する必要がありました。しかし、データ化によりこのような手間やコストが不要になります。
印刷や郵送、さらに保管スペースにかかる費用を削減できるだけでなく、データの共有も容易になり、業務がスムーズに進行します。この削減効果は、作業にかかる手間や関連人件費の節約にもつながり、企業全体の経費削減にも貢献します。
健康管理の質が向上
データ化は健康管理の質向上にも一役買います。データ化することで従業員の健康状態を迅速に把握でき、それによって早期に健康リスクを発見し、適切な健康指導が可能になります。
AIを活用することで検査項目の中から有所見の特定がスムーズに行えます。
さらに、システム内で情報が統一された形式で管理されるため、個々の従業員の状態変化や過去からの経緯を自然に理解できます。データ分析を通じて、より精緻な個別健康管理プランを策定することで、従業員一人ひとりに対応した健康サポートが提供できます。
これらのメリットを活かして、企業全体で効率的で質の高い健康管理が実現しやすくなります。健康経営の推進に向けた施策の策定にも役立つでしょう。
健康診断の結果をデータ化する主な方法
健康診断の結果をデータ化するメリットを理解したところで、「では具体的にどうデータ化すれば良いのか」と考える方もいるでしょう。データ化の方法には手作業、代行サービス、そして健康管理システムを利用する方法の3つがあります。
それぞれの方法について、その特徴やメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
手作業でデータ化する
まず最初に、手作業でデータ化する方法があります。これは、Excelなどのソフトウェアを使用して、人事担当者が一つひとつ手入力する方法です。この方法の長所は、費用を低く抑えられることです。社内の既存のリソースを活用できるため、コスト面でのメリットがあると言えます。
しかし、一方で、担当者の工数が多くなり、入力ミスが発生するリスクが高まります。特に、大量のデータを扱う場合、手作業では効率が悪く、正確性も損なわれることがあります。長期的な視点で見ると、この方法は負担が大きく、データ管理にかかる時間が他の業務に影響を与える可能性があります。
代行サービスに委託する
次に、専門の代行サービスを利用する方法があります。ここでは、外部委託業者が健康診断の結果をデータ化し、管理も行ってくれます。代行サービスを利用することで、社内の人材を他の重要な業務に専念させることができ、業務の効率が向上します。
ただし、代行業者のサービスの質にはばらつきがある場合があるため、選定には慎重さが求められます。適切な業者を選ぶことによって、データ化業務を迅速かつ正確に行えるでしょう。また、契約に際しては、サービス内容とサポート体制をしっかりと確認することが重要です。また、仕上がったデータの精度にも注意が必要です。
健康管理システムを導入する
健康管理システムを導入する方法もあります。システムを利用してデータをアップロードするだけで、健康診断の結果や他の健康関連データが自動的に反映され、一元管理されます。結果的に、データ管理の全体的な負担を軽減し、DXの推進に役立ちます。
健康管理システムによる健康診断結果のデータ化は、有所見者の自動集計などができる場合もあり、電子申請の業務もスムーズになる可能性があります。
この方法の利点は、データがすぐにアクセス可能で比較できることです。たとえば、健康診断の結果とストレスチェック、産業医面談の記録、勤怠情報などを一つのシステム内で確認できます。
これにより、従業員個々の健康状態を立体的に把握でき、部署ごとの傾向や企業全体の健康課題も把握しやすくなります。
また、医療機関やクリニックからさまざまな形式で提供されたデータも、単位などが統一された形で表示されるため、情報収集の速度向上に繋がります。
健康データを活用した分析がスマートに実現します。
このようなシステム導入により、効率的なデータ管理と健康管理が可能になり、分析の精度も高まります。今後の健康施策の策定に対しても、大きな助けとなるでしょう。
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健康診断の結果をデータ化する際の注意点
健康診断の結果をデータ化する際には、注意すべき点がいくつかあります。
健康診断データのデータ化においては、正確性の維持と情報保護のためのセキュリティ対策が不可欠です。具体的にどのような点に注意したらよいのか、以下で詳しく解説します。
個人情報は適切に管理する
健康診断の結果は要配慮個人情報に該当します。慎重な取り扱いが求められます。そのため、個人情報保護法に基づき、管理体制を整える必要があります。これは、個人の健康情報が特にデリケートであり、適切なガイドラインに従って扱わなければならないためです。
具体的には、情報へのアクセスを制限し、暗号化を施すことや、情報管理ポリシーを策定することが重要です。
さらに、健康診断結果をデータ化する際には、必ず従業員の同意を得たうえで進める必要があります。同意を得ることで、情報の扱いに透明性を持たせ、従業員がどのように情報が使われるかを理解していることを確認します。
また、不適切な利用は避けましょう。これは、業務以外の目的でデータを使用しないことを意味します。こうした方針を遵守することで、従業員の信頼を得るとともに、法令違反を防ぐことができます。
このように、健康診断の結果をデータ化する際には、法的な基準に準拠した管理と、従業員への配慮を徹底することが不可欠です。これにより、データのセキュリティを維持し、職場全体の信頼感を築くことができます。
データの正確性を確保する
健診結果は最新かつ正確な情報を維持しましょう。そのためには、過去のデータや不要なデータが混在しないよう、情報を適切に仕分け・管理することが重要です。
健診結果の保存期間についても留意が必要です。
一般健康診断の結果は5年間、特殊健康診断の結果は最大40年間保存しなければならないという法的な義務があります。これらの期間は業務の種類により異なることがあり、各事業所での正確な把握が求められます。
また、データの消失リスクに対しても備えが必要です。予期せぬデータの消失を防ぐために、定期的にバックアップを取ることが大切です。バックアップは、データの保護だけでなく、いざという時に迅速に対応できる体制を整えるためにも有効です。
これらの対応を徹底することで、健康診断データの信頼性を高めるだけでなく、法令遵守にも貢献します。データ管理をしっかりと行い、安心して健康管理に取り組める環境を整えましょう。
出典:「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き」(厚生労働省)
セキュリティ対策を実施する
健康診断のデータを適切に管理するためには、データ漏えい、改ざん、消失を防ぐための安全管理措置を講じる必要があります。このような情報は個人の健康に関わる非常に重要なものであるため、そのセキュリティは必須です。
まず、アクセス制限を設けることで、データを閲覧・編集できる人物を最小限に抑えることができます。これにより、情報への不正アクセスを防ぎ、データの不正利用を未然に防止できます。
また、データ自体の安全性を確保するために、暗号化技術を導入することが推奨されます。データが暗号化されていると、万が一データが漏えいした場合でも、内容が外部に分からないように保護できます。
さらに、定期的なセキュリティチェックは、システムの脆弱性を早期に発見し、対策を講じるために重要です。これには、セキュリティソフトウェアの定期的な更新や、外部の専門家による監査が含まれます。
このように、適切なセキュリティ対策を講じることで、健康診断のデータを安全に管理し、個人情報の保護に努めましょう。
健康診断データ化の重要性と健康管理システム導入のメリットとは
健康診断の結果をデータ化することは、業務の効率化、コスト削減、健康管理の質向上を実現する上で重要な施策です。2025年1月からの電子申請義務化に伴い、法令遵守を含めたデータ化のメリットはさらに高まっています。
データ化の方法としては、手作業による入力、代行サービスを利用する方法、そして健康管理システムの導入があります。それぞれの方法には長所と短所があり、自社のニーズに最適な方法を選ぶことが大切です。
健康管理システム「mediment」を導入すれば、健康診断結果のデータ管理が飛躍的に効率化されます。OCR技術を活用したペーパーレス化、担当者の負担を軽減するデータ管理、そして各種報告書の自動作成機能により、健康経営の推進を強力にサポートします。
さらに、ストレスチェックや特定保健指導のデータ入力にも対応し、企業全体の健康管理を次のレベルへと押し上げる重要な役割を果たします。
このように、健康管理システム「mediment」を活用することにより、職場の健康管理をより効率的かつ効果的に実現できます。
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