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健康診断の管理業務とは|煩雑になりやすい理由と効率化する方法

健康診断の結果を適切に管理することは、単に従業員の健康を維持するだけではなく、企業が法的義務を果たすためにも重要な業務です。しかし、これらの業務は非常に複雑で手間がかかるため、多くの企業が効率化の必要性を感じています。

本記事では、健康診断の管理業務の基本から、その効率化に役立つ具体的な方法までをわかりやすく解説します。


健康診断の管理業務とは

健康診断は、従業員の健康を守るだけでなく、企業が法的義務を果たすための重要な業務の一つです。法令に基づいた適切な管理やフォローアップは、企業の信用と持続可能な成長を支えます。
しかし、健康診断の管理業務は複雑で、企業の負担となることがあります。本見出しでは、健康診断業務の法的背景の理解から、業務効率化具体的な内容と順番に向けた方法を紹介します。


健康診断の実施

企業には、労働安全衛生法に基づき、従業員に定期的に健康診断を実施する義務があります。
主な健康診断の種類は以下です。

  • 雇い入れ時の健康診断
  • 定期健康診断
  • 特定業務従事者の健康診断
  • 海外派遣労働者の健康診断
  • 特殊健康診断(有害業務従事者向け)


結果の管理と保管

健康診断の結果は適切に管理し、個人情報保護を配慮した方法で保管されなければなりません。法的には5年間の保存が求められています。
ここで注意したいのが、健康診断結果によって保存期間に違いがある点です。
たとえば、有機溶剤などを使用した特殊業務に携わった対象者に行われる特殊健康診断の結果管理です。

有機溶剤健康診断の結果の保存期間は、一般的には5年間です。
しかし、特別有機溶剤業務(クロロホルム、エチルベンゼンなど)の場合や、特別管理物質(発がんのおそれのある物質)を扱う場合は、作業記録や健康診断の結果は30年間保存する必要があります。


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労働基準監督署への報告

従業員が50人以上の企業は、健康診断の結果を労働基準監督署に報告する義務があります。対象となるのは「定期健康診断結果」「特定業務従事者の健康診断結果」です。所轄の労働基準監督署長に報告する必要があります。


健康診断後のフォローアップ

健康診断は、従業員の健康を支えるための大切な機会ですが、その本当の効果を引き出すには診断後のフォローアップが欠かせません。診断で何らかの異常が見つかったり、再検査が必要な従業員がいたりした場合には、適切な管理と対応が必要になります。
まず、異常が見つかった従業員や再検査対象者に対する的確な対応は、健康リスクの早期発見と早めの手当てにつながります。この対応が、重大な健康問題を未然に防ぐ一助となります。

また、健康指導が必要な従業員には、産業保健の専門家のアドバイスを通じて、健康意識の向上を図ることが大切です。
保健師や産業医と連携して面談や健康指導を行うことで、従業員は自分の健康状態を理解し、より良い健康を目指す意識を高めることができます。こうしたサポート体制によって、従業員が前向きに健康改善に取り組めるでしょう。


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健康診断の管理業務が必要な理由

健康診断の管理業務は、法的遵守、従業員の健康確保、企業の健康経営推進において欠かせない要素です。ここでさらに詳しく見ていきましょう。


法的義務を遵守するため

労働安全衛生法第66条により、事業者には従業員に健康診断を受診させる義務が課されています。
労働者に対し「1年に1回、定期的に健康診断を実施する」ことが義務付けられています。


従業員の健康状態を適切に把握するため

健康診断は、生活習慣病やその他の疾患の早期発見に役立ちます。健康診断によって具体的な健康課題が見え、二次検査や健康経営の取り組みなどによって病気の早期発見・早期治療が可能になります。それにより、健康リスクを軽減することができます。また、健康診断結果をもとに二次検査等に受診し、従業員の健康状況の詳細が把握できるようになると、迅速で適切な労働環境の提供や就業上の措置が行えます。それにより、労災などのリスクを減らすことにもつながります。


健康経営を推進するための基盤を整えるため

従業員が心身ともに健康で働ける環境を整備することは会社にとってもメリットがあります。健康な職場環境は、従業員のモチベーションアップと企業の持続可能な成長に寄与します。


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健康診断の管理業務が煩雑になりやすいのはなぜ?

前の章では、健康診断の管理業務が必要な理由について見てきました。では、なぜ企業にとって、健康診断の管理業務が煩雑になりやすいのでしょうか? ここからは、その理由をより深く掘り下げていきましょう。


多数の関係者との調整が必要なため

健康診断の業務は年間でも長い期間にわたって行われますが、その中で発生するのが関係者との調整業務です。従業員、医療機関、産業医、健康保険組合など、多くの関係者との調整が必要となります。具体的には、従業員の希望日程や検査内容の把握、医療機関との調整などです。
関係者が多いことから調整業務があらゆる箇所で発生します。

またやっと受診日が決まっても、業務の都合などで予約後の日程変更やキャンセル対応も発生することがあり、業務負担が増大する要因となります。
このような関係者の調整と事後対応の多さなどで調整が続くため、業務の煩雑化につながります。


事務作業の工数が多いため

健康診断の受診に至るまでの調整業務は煩雑ですが、健診実施後にも多くの作業が必要となります。まず、結果を受け取り確認します。健診機関から会社に結果が届いた際には、従業員の名前と結果内容が一致しているかを確認します。医療機関によって提出形式が異なるため、紙媒体やエクセルなど、バラバラなデータの統合作業を行う必要が生じることもあります。この統合作業は、データの検索が煩雑になり、人的ミスが起きやすくなります。

次に、従業員への結果通知を実施します。この際、結果の内容を説明し、健康管理の重要性を伝えることで、従業員の理解を深めることが大切です。また、健診結果の保管も重要です。健診結果は、労働安全衛生法で定められた期間(通常5年間)保管しなければなりません。健康情報は要配慮個人情報であるため、その取り扱いには十分な注意が必要です。

さらに、健康診断結果に基づく事後措置も行います。必要に応じて、医師の意見を確認し、就業上の配慮や再検査の勧奨といった措置を講じます。最後に、労働基準監督署への報告が必要です。健康診断は法令で義務付けられているため、正確な処理と記録が求められ、法令確認や書類作成には多くの時間がかかります。


二次検査の対応が発生するため

健康診断の結果は従業員に通知されますが、要再検査や精密検査が必要とされた場合には、迅速で適切な対応が求められます。具体的には、二次検査の受診勧奨や保健指導の実施です。その際、保健師と社員の予定調整や、面談記録の作成や確認が必要となります。また、もし健康診断の受診率自体が低いならば、未受診者へのフォローアップも重要です。


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健康診断の管理業務を効率化するならシステムの導入が効果的

今まで見てきたように健康診断の管理業務は受診前から結果報告書の提出まで多くの工数がかかり、業務も煩雑です。
そのため、管理業務を効率化するためにシステムの導入が効果的です。
実際に導入した場合、導入後にどのような効果があるのか、こちらで見ていきましょう。


健康データを一元管理できる

健康管理システムの大きな特長の一つは、健康データを一元的に管理できる点です。は、健診データだけでなく、あらゆる健康管理情報をクラウド上で集約して管理することが可能です。たとえば、健診結果やストレスチェックの結果を管理することができ、その情報を基に、健診の受診率や進捗状況を可視化でき、簡単に確認することができます。


作業工数の大幅削減が可能になる

システムを導入することで、健康診断の予約や受付業務が効率的に行えます。社員が自身のアカウントを通じて、システム内で健康診断の新規予約や変更をスピーディーに行うことが可能です。このため、調整にかかる手間が大幅に削減されます。

さらに、報告書の作成過程も自動化されます。紙やエクセルなどバラバラな状態で受け取った健診結果をシステムに取り込むことで、データが一元化されます。これにより、健康診断実施報告書の作成時に、一元化されたデータから自動集計された結果が反映されます。これにより業務効率が向上するだけでなく、手入力の削減により人的ミスも減少します。


データを分析して健康経営に活用できる

健康管理システムの魅力は、単にデータ管理にとどまりません。健診結果をデジタル化することで、データの集計や分析が極めてスムーズになります。これにより、従業員全体の健康状況を把握しやすくなり、適切な予防策や改善プランの立案・提案が可能になります。

自社が抱える健康課題を明確にし、それに基づいて職場での取り組みに活かすことができます。これらの取り組みが、健康経営優良法人の認定取得にもつながります。


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健康診断管理業務の効率化で得られるメリット

健康診断の管理業務は、その煩雑さや業務期間の長さ、連携する関係者の多さゆえに、担当者の皆様にとって大きな負担となることがあります。
そのような際は、健康管理システムを導入すれば、データを一元管理したり報告書を自動作成したりすることで、業務効率が大幅に向上します。

このシステムを活用することで、作業の効率化と正確性を同時に実現し、健康課題に沿った施策にもスムーズに取り組むことができます。


さらに、システムは担当者だけでなく、産業保健スタッフにも利便性をもたらします。健康診断の結果が検査項目に沿って整理されるため、結果の確認が容易で、特定保健指導の際にも経年変化を簡単にチェックすることが可能です。
他にも様々な機能によって、皆様の健康管理業務上の課題解決を支援可能です。

健康管理システムにご興味がある方には、資料請求や導入事例の詳細についてのサポートも用意しております。
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mediment(メディメント)は、従業員のあらゆる健康データを一元管理し、産業保健業務の効率化を支援するクラウドシステムです。 クラウドシステムならではの多彩な機能で、あらゆる業務のペーパーレス化を実現し、従業員のパフォーマンス向上に貢献します。

監修者情報

三浦 那美(メディフォン株式会社産業看護師/第一種衛生管理者)

看護師として大学病院の内科混合病院にて心疾患や糖尿病、膠原病などの患者対応業務に従事。その後、看護師問診や海外赴任向けの予防接種を行っているクリニックに転職。これら医療機関での経験を通じ、予防医療やグローバルな医療提供の重要性を感じ、メディフォンに入社。現在は、産業看護師として健康管理システム「mediment」のオペレーション業務やコンテンツ企画を担当。

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