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安全衛生責任者に資格は必要?役割や統括安全衛生責任者との違いまで解説

安全衛生責任者とは、安全管理の責任を負う役職のことです。特別な資格は必要ありませんが、安全衛生責任者になるには特定の講習を受講する必要があります。

本記事では、安全衛生責任者の概要や似た職種との違い、講習の内容などについてご紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.安全衛生責任者とは
  2. 2.安全衛生責任者の選任が必要なケース
  3. 3.安全衛生責任者に資格は不要だが講習の受講が必要
  4. 4.安全衛生責任者についての知識を深めて正しく選任しましょう


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安全衛生責任者とは

まずは、安全衛生責任者の概要や職務内容、似た職種との違いについてご説明します。


統括安全衛生責任者との連携や調整をおこなう役職

安全衛生責任者とは、事業者の代表として安全管理の責任を負う役職です。主に下請事業者において選任されます。設置目的は労働災害の防止で、特定事業である建築業または造船業の現場にて設置が求められます。

元請事業者と下請事業者の労働者が混在する作業現場において、元請業者が選任した統括安全衛生責任者との連絡や、他の安全衛生責任者との作業間の連絡や調整をおこないます。

具体的な職務内容については、次項で詳しく解説します。


安全衛生責任者の職務内容

次に、安全衛生責任者の職務内容について解説します。
安全衛生責任者の主な職務は、以下の6つです。

  • 統括安全衛生責任者との連絡
  • 統括安全衛生責任者から連絡を受けた事項の関係者への連絡
  • 統括安全衛生責任者からの連絡に係る事項のうち、当該請負人に係るものの実施についての管理
  • 当該請負人がその労働者の作業の実施に関し計画を作成する場合における、当該計画と特定元方事業者が作成する仕事の工程や機械、設備の配置に関する計画との整合性の確保を図るための統括安全衛生責任者との調整
  • 当該請負人の労働者の行う作業及び当該労働者以外の者の行う作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害に係る危険の有無の確認
  • 当該請負人がその仕事の一部を他の請負人に請け負わせている場合における、当該他の請負人の安全衛生責任者との作業間の連絡及び調整

引用:安全衛生責任者|厚生労働省 職場のあんぜんサイト

少し複雑な内容も記載されていますが、簡単にいえば、元請業者が選任した統括安全衛生責任者との連絡や調整が主な職務となります。

また、下請事業者の労働者の安全衛生管理や、労働災害の防止なども安全衛生責任者の役割の一つです。
なお、安全衛生責任者の選任は労働安全衛生法にて定められており、選任後は、安全衛生責任者を選任した旨を遅滞なく元請事業者に報告する必要があります。


統括安全衛生責任者との違い

統括安全衛生責任者とは、特定事業である建築業または造船業の現場において、労働災害防止に関する指揮や統括管理をおこなう職種です。
作業間の連絡及び調整や、協議組織の設置及び運営などが主な職務内容です。

では、安全衛生責任者とは、どのような点が違うのでしょうか。
統括安全衛生責任者と安全衛生責任者の違いは、選任する事業者にあります。
安全衛生責任者は下請事業者から選任される一方、統括安全衛生責任者は元請事業者より選任されます。

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引用:統括安全衛生責任者|厚生労働省 職場のあんぜんサイト


そのため、安全衛生責任者は下請事業者と同じ数だけ選任されますが、統括安全衛生責任者は1つの工事エリアにつき1人しか選ばれません。
統括安全衛生責任者は、現場の安全を管理する統括的な立場といえるでしょう。


職長との違い

職長とは、作業グループのリーダーのことで、作業の指導監督をおこなう職種です。
作業手順の決定や、作業者の教育などが主な職務内容です。

安全衛生責任者との違いには、主に「法律上の選任の必要性」「職場配置」「主な職務内容や役割」の3点が挙げられます。



法律上の選任の必要性   

職場配置

主な職務内容

職長

なし(任意の選定)

作業グループに1名   

作業指揮や監督

安全衛生責任者

あり

1事業者に1名

統括安全衛生責任者との連絡・調整


職長は、業務のスムーズな進行のために事業者が任意で選任する職種で、法律上選任の必要性はありません。また、職務規定や選任報告に法規定は存在しません。

一方、安全衛生責任者は職務規定が労働安全衛生規則第19条に定められているほか、労働安全衛生規則第16条には選任報告が定められています。安全衛生責任者の選任に、職長の有無は関係ない点には注意しましょう。


安全衛生責任者の選任が必要なケース

安全衛生責任者は、全ての現場において選任が必須になるわけではありません。

しかし、現場の規模が以下のケースに当てはまる場合については、労働安全衛生法により統括安全衛生責任者や安全衛生責任者を選任する義務が定められています。


  • ずい道等の建設の仕事、橋梁の建設の仕事(厚生労働省令で定める場所で行われるものに限る)、圧気工法による作業を行う仕事かつ従業員が常時30人以上の現場
  • 特定事業(建築業または造船業)の混在作業において、元方事業者と関係請負人の従業員の合計が常時50人以上の現場


もし安全衛生責任者の選任が必要な事業所において、誰も選任しないまま作業を進めた場合は、事業者に50万円以下の罰金が課せられるため注意が必要です。

また、現場の規模が上記に満たない場合も責任者が不要というわけではなく、統括安全衛生責任者や安全衛生責任者に準ずる者を選任する必要があります。
安全衛生責任者となる従業員は講習の受講が必要なため、事前に準備をしておきましょう。
講習については、次項にて詳しく紹介します。


安全衛生責任者に資格は不要だが講習の受講が必要

安全衛生責任者に必要な資格は特にありませんが、「安全衛生責任者教育」と呼ばれる講習を受講する必要があります。

最後に、安全衛生責任者教育についてご紹介します。


安全衛生責任者教育の内容

安全衛生責任者教育で学習する内容は、職長となる人が受講する職長教育とほぼ変わりません。

職長教育との違いは、「安全衛生責任者の職務等」「統括安全衛生責管理の進め方」と呼ばれる2科目が各1時間追加されていることです。

安全衛生責任者教育の内容は以下のとおりで、計14時間の講習となっています。

  • 作業方法の決定および労働者の配置に関すること:2時間
  • 労働者に対する指導または監督の方法に関すること:2.5時間
  • 危険性または有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること:4時間
  • 異常時等における措置に関すること:1.5時間
  • その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること:2時間
  • 安全衛生責任者の職務等:1時間
  • 統括安全衛生管理の進め方:1時間
    引用:一般社団法人 中小建設業特別教育協会

講座の終了後に試験はなく、講座を全て受講すれば修了証を受け取れます。

また、安全衛生責任者教育に有効期限はありません。
そのため更新などは必要ありませんが、概ね5年ごとに「職長・安全衛生責任者の能力向上教育」を実施するよう、労働安全衛生法にて求められています。
安全衛生責任者教育を受講した後は、職長・安全衛生責任者の能力向上教育の定期的な受講を心がけましょう。


安全衛生責任者教育の受講方法

安全衛生責任者教育には、主に対面受講とWeb講義の2種類が存在します。
なお、受講にあたり年齢制限や必要な資格などはありません。

それぞれの特徴は以下のとおりです。

  • 対面受講:各地域の労働安全基準協会などが実施。料金は2万円前後が多い。会社の会議室をはじめとした特定の場所で開催してもらう出張講習会もある
  • Web講義:各自の好きなタイミングで受講できる。料金は主催団体によっても異なる

対面受講の場合は、計14時間のカリキュラムを2日間に分けて開催するケースが多く見られます。

全国各地で開催されているため、スケジュールや開催場所については、一般社団法人 中小建設業特別教育協会のホームページなどをチェックしてみてください。


安全衛生責任者についての知識を深めて正しく選任しましょう

安全衛生責任者は、事業者の代表として安全管理の責任を負う役職です。
法律上選任の必要性があり、現場の人数などの一定の条件を満たした場合は、必ず選任する必要があります。

特別な資格は不要ですが、講習の受講が必須となっています。スムーズな選任のためにも、できるだけ早く受講の手配をしておきましょう。


以下の資料では、安全衛生教育の種類や実施方法について図でわかりやすく解説しています。ぜひお役立てください。

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mediment(メディメント)は、従業員のあらゆる健康データを一元管理し、産業保健業務の効率化を支援するクラウドシステムです。 クラウドシステムならではの多彩な機能で、あらゆる業務のペーパーレス化を実現し、従業員のパフォーマンス向上に貢献します。

監修者情報

三浦 那美(メディフォン株式会社産業看護師/第一種衛生管理者)

看護師として大学病院の内科混合病院にて心疾患や糖尿病、膠原病などの患者対応業務に従事。その後、看護師問診や海外赴任向けの予防接種を行っているクリニックに転職。これら医療機関での経験を通じ、予防医療やグローバルな医療提供の重要性を感じ、メディフォンに入社。現在は、産業看護師として健康管理システム「mediment」のオペレーション業務やコンテンツ企画を担当。

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