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【人事労務向け】健康診断で発生する料金は誰が負担する?安くする工夫も紹介

健康診断は労働安全衛生法に基づいて従業員に実施することが義務づけられており、会社の健康管理としても必須です。この記事では人事労務担当者に向けて、健康診断の概要から健康診断の料金を誰が負担するのか、料金を抑える工夫まで紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.健康診断の種類と受診対象
  2. 2.健康診断で発生する料金の負担者
  3. 3.健康診断の料金を抑える工夫
  4. 4.健康診断の料金は上手に抑えよう


健康診断の実施方法や結果の活用については以下のお役立ち資料で解説していますので、ぜひご活用ください。

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健康診断の種類と受診対象

健康診断にはいくつか種類があり、それぞれ受診対象者が決まっています。


健康診断は会社の義務

そもそも健康診断は、労働安全衛生法第66条に基づき事業者に実施が義務付けられています。そのため、事業者は各従業員に健康診断を受けさせる必要があります。

従業員の健康を確保するためにも適切な時期・内容で受診してもらうようにしましょう。


健康診断は大きく分けて2種類ある

健康診断は大きく分けると一般健康診断と特殊健康診断の2つに分けられます。

  • 一般健康診断:雇入れ時健康診断、定期健康診断、特定業務従事者健康診断、海外派遣労働者健康診断、結核健康診断、給食授業者の検便
  • 特殊健康診断:じん肺健診、歯科健康健診など

また会社が実施しなければならない一般健康診断と対象者は、労働安全衛生規則で以下のように決まっています。


<一般健康診断と対象者>
イ) 雇入時健康診断(労働安全衛生規則第43条)  常時使用する労働者(一定のパートも含む)を雇入れる直前又は直後に実施する必要があります。

 ロ) 一般健康診断(労働安全衛生規則第44条)  常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回、定期的に医師による健康診断を実施する必要があります。 
※常時使用する労働者とは、①期間の定めのない契約により使用される者であり、かつ、②労働時間が通常の労働者の労働時間の4分の3以上である者をいいます。  

ハ) 特定業務従事者健康診断(労働安全衛生規則第45条第1項)  坑内労働、深夜業等の有害業務に常時従事する労働者に対して、6ヶ月以内ごとに1回、定期的に医師による健康診断を実施する必要があります。 
※深夜業の業務に常時従事する労働者とは・・・  深夜業(午後10時から午前5時までの間に業務に従事)を1週に1回以上又は1月に4回以上行う方 
 
引用:厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断に関するFAQ」


	02_健康診断の種類

引用:厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう


>>>定期健康診断については、以下の記事で詳しく解説しています。

  定期健康診断の対象者・項目・費用・報告書の提出義務などを徹底解説 定期健康診断は、常時使用する労働者に対して1年以内ごとに1回の実施が義務です。本記事では「実施日や報告書の提出はいつか」「対象者は誰か」など定期健康診断にまつわる疑問を解決します。検査項目や費用についても解説しているので参考にしてください。 mediment(メディメント)


>>>特殊健康診断についてはこちら

  特殊健康診断とは?種類や対象者、実施時期、検査項目を一覧表でチェック! 労働者の健康確保のため、事業者には健康診断の実施が義務付けられています。中でも、健康上のリスクを伴う業務に従事する労働者に対しては「特殊健康診断」の実施が必要です。特殊健康診断の種類や条件は多岐に渡るため、この記事では対象者や実施時期、検査項目などを網羅的に解説していきます。 mediment(メディメント)


健康診断で発生する料金の負担者

健康診断で発生する料金は誰が負担するのでしょうか。前述したように健康診断は事業者の義務のため、健康診断の料金は事業者が負担することが義務付けられています。

また、健康保険法によって健康診断は療養給付の対象としておこなってはならないとされており、医療保障の適用外です。そのため実施機関によって健康診断の料金が異なります。


【事業者負担】一般健康診断の項目と料金

以下の一般健康診断で労働安全衛生法によって定められている項目が支払い対象となります。

  • 雇入れ時健康診断
  • 定期健康診断
  • 特定業務従事者健康診断

02_一般健康診断の項目.

引用:厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断に関するFAQ」


また年に一回は必ず受診がおこなわれる定期健康診断の料金は実施機関によって異なり、東京の場合は5,000円〜15,000円/人ほどが相場です。

ですが、協会けんぽの助成を受けられる場合には一般健診(対象:35〜74歳)は5,282円負担となります。


【一部事業者負担】再検査・精密検査

健康診断の結果、再検査や精密検査の指示があった場合、会社が料金を負担するべきなのでしょうか。

一般健康診断の再検査・精密検査は会社に実施が義務付けられておらず、費用を誰が負担するかは法令で定められていません。ですが、再検査は一般健康診断の項目として規定されている項目について、再度検査して検査値を確定させるために実施します。そのため、再検査は健康診断の範囲内として会社が負担することが望ましいです。

一方、精密検査については健康診断の範囲外と考えられるため、会社の費用負担外と考えてよいでしょう。

ただし、特殊健康診断の再検査・精密検査は義務付けられているため、どちらの費用も会社が負担するようにしましょう。


>>>健康診断の二次検査について配下の記事で詳しく解説しています。

  健康診断の二次検査とは?費用や義務の有無・受診勧奨について徹底解説! 健康診断後の二次検査とは、検査結果において、健康状態に何らかの問題がある、またはその可能性が高いと医師から判断された場合におこなう検査のことです。 この記事では、二次検査が必要となる定義や企業の義務と費用負担の有無、受診勧奨の方法についてご紹介します。 mediment(メディメント)


【支払推奨】健康診断受診時の賃金

健康診断でかかる費用は、健康診断の料金だけではありません。たとえば、健康診断受診時の賃金を支払うか検討する必要があります。

定期健康診断は、業務とは直接的に関連していないため、健康診断受診時の賃金については労使間の協議で定めるものになります。しかし、従業員に健康診断を受診してもらうことを考えれば、会社は賃金を支払うことが望ましいとされています。

なお、特殊健康診断の受診については要した時間は労働時間に該当します。そのため賃金を支払うようにしましょう。


【支払推奨】健康診断受診旅費(交通費)

健康診断の料金以外にかかる費用として、健康診断の受診で発生する交通費も支払いを検討するのがおすすめです。

厚生労働省の通達によると、「一般健康診断は、一般的な健康の確保をはかることを目的として事業者に実施を課したものであり、業務遂行との関連において行われるものではないのでその受診に要した時間については、事業者の負担にするべきではなく、労使で話し合って決めるべきもの。」 とされています。

しかし、従業員の健康診断を受診してもらうことを考えれば、賃金と同様に交通費も事業者の負担にするのが望ましいです。


健康診断の料金を抑える工夫

健康診断では、受診料金だけでなく健康診断にかかった交通費や受診中の賃金支払いなども発生します。しかし、助成金の活用や健康管理システムの導入で健康診断にかかる費用を抑えられる可能性があります。


【定期健康診断】助成金の活用

前述のとおり、法で定められている健康診断の受診は企業の義務のため、健康診断の料金は企業で負担します。しかし、胃がん検診・子宮がん検診、腰痛健康診断など法外の健康診断は、国からの助成金を活用して料金を抑えられる可能性があります。

人材確保等支援助成金(※1)の雇用管理制度助成コースのうち「健康づくり制度」を活用すると助成金を受けられます。健康づくり制度とは、法定の健康診断以外の健康づくりに資する制度のことで、導入する場合は下図の条件を全て満たすことが必要です。

	02_健康づくり制度①

	02_健康づくり制度②

引用:厚生労働省「雇用管理制度助成コース 支給までの流れ」


会社に「健康づくり制度」を導入して目標を達成すると、目標達成助成(※2)として57万円が支給されます。

しかし、厚生労働省のホームページで令和4年4月1日より整備計画の受付が休止され、令和5年度も引き続き休止中と発表されています。「健康づくり制度」の助成金を検討したい場合は、最新の情報を確認するのがおすすめです。

また、前述した協会けんぽのように、加入している健康保険組合や地方自治体が支援制度を設けている可能性があります。厚生労働省の他に、加入している保険組合や地方自治体の支援制度も確認するのがおすすめです。

※1:2018(平成30)年4月1日より職場定着支援助成金は人材確保等支援助成金へ統合されました。
※2:生産性要件は2023(令和5)年3月31日で廃止されたため、目標達成助成金額の上限額が変更となっています。


【再検査】二次健康診断給付の活用(該当条件あり)

健康診断の結果、再検査の指示があったときは「二次健康診断給付制度」を活用すると、会社への料金負担なく再検査を実施してもらえます。

「二次健康診断等給付制度」とは、職場の定期健康診断等で異常の所見が認められた場合に、脳血管・心臓の状態を把握するための二次健康診断及び脳・心臓疾患の発症の予防を図るための特定保健指導を1年度内に1回、無料で受診することができる制度です。

給付を受けるには以下の要件を満たしている必要があります。

<給付の要件>
1 一次健康診断の結果、異常の所見が認められること
一次健康診断の結果、次のすべての検査項目について、「異常の所見」があると診断されたときは二次健康診断等給付を受けることができます。
(1)血圧検査
(2)血中脂質検査
(3)血糖検査
(4)腹囲の検査またはBMI(肥満度)の測定
なお、一次健康診断の担当医師により、(1)から(4)の検査項目において「異常なし」と診断された場合であっても、労働安全衛生法に基づき事業場に選任されている産業医等が、就業環境等を総合的に勘案し、異常の所見を認めた場合には、産業医等の意見を優先します。
 
2 脳・心臓疾患の症状を有していないこと
一次健康診断またはその他の機会で、医師により脳・心臓疾患の症状を有すると診断された場合、二次健康診断等給付を受けることはできません。
 
3 労災保険の特別加入者でないこと
特別加入者の健康診断の受診は自主性に任されていることから、特別加入者は二次健康診断等給付の対象とはなりません。

引用:厚生労働省「労災保険二次健康診断等給付

再検査の検査項目や特定保健指導の有無で料金は異なりますが、「二次健康診断給付制度」を利用すると、いずれも無料で二次健康診断や特定保健指導を受診することができます。

  • 特定保健指導ありの料金:22,612円〜32,332円
  • 特定保健指導なしの料金:15,412円〜25,132円


	02_二次健康診断等給付金の金額変更

引用:厚生労働省「労災二次健康診断等給付を一部改定します」


もし従業員の中で再検査の指示があった場合は、二次健康診断の給付対象になるか確認し、制度を活用するのがおすすめです。


健康管理システムを導入する

健康診断に関する費用を安くする方法として、健康管理システムを導入するのもおすすめです。システムを導入する際は費用がかかりますが、ペーパーレス化によってコスト削減や人件費の削減効果が期待できます。

健康管理システムを導入することで、健康診断結果のペーパーレス化や人件費の削減に繋がり、結果的に健康診断に関する費用を抑えることが期待できます。コスト負担の軽減だけでなく、業務負担も期待できるため、健康管理システムの導入を検討するのもおすすめです。


>>>健康管理システムの費用についてはこちら

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健康診断の料金は上手に抑えよう

健康診断は企業の義務であり、従業員の健康を守るために必要なものです。健康診断の料金は企業の負担となりますが、助成金を活用したり健康管理システムを導入したり工夫して費用を抑えることができます。


健康診断の実施方法や結果の活用については以下のお役立ち資料で解説していますので、ぜひご活用ください。

>>>資料ダウンロード(無料)はこちらから:健康診断業務マニュアル     blog用WPバナー_健康診断業務マニュアル


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mediment(メディメント)は、従業員のあらゆる健康データを一元管理し、産業保健業務の効率化を支援するクラウドシステムです。 クラウドシステムならではの多彩な機能で、あらゆる業務のペーパーレス化を実現し、従業員のパフォーマンス向上に貢献します。

監修者情報

三浦 那美(メディフォン株式会社産業看護師/第一種衛生管理者)

看護師として大学病院の内科混合病院にて心疾患や糖尿病、膠原病などの患者対応業務に従事。その後、看護師問診や海外赴任向けの予防接種を行っているクリニックに転職。これら医療機関での経験を通じ、予防医療やグローバルな医療提供の重要性を感じ、メディフォンに入社。現在は、産業看護師として健康管理システム「mediment」のオペレーション業務やコンテンツ企画を担当。

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