在宅勤務者への健康管理はどのように取り組めばいい?対策や事例を含めて紹介
資料DL「企業内担当者向け 『健康経営』の実践において 知っておくべき8つの ポイント」
在宅勤務は企業と従業員双方にとってメリットが大きいです。
しかし、直接会わないため従業員の健康管理が難しく課題点もあるのが現状です。
従業員の健康管理は企業にも責任があるため、この記事では、在宅勤務者に対してどのように健康管理を行えるかご紹介します。
目次[非表示]
在宅勤務をする従業員の健康管理が必要な理由
在宅勤務になることで健康不良を抱える従業員もいます。理由として以下の点が挙げられます。
- 運動不足
- メンタルヘルス不調
それぞれを解説します。
運動不足を引き金とした健康リスクの増大
近年では、コロナ禍の影響で生活習慣が大きく変わった人も少なくないでしょう。
在宅勤務になり自宅にいる時間が長くなったため、身体活動量が減ってしまった人も多いのではないでしょうか。
また、コロナ前と比べて運動量が減少した人は約4割となっています。
在宅勤務では、自宅から職場までの移動時間がなくなるため徒歩による歩数、階段利用、電車内での揺れ対応(踏ん張り)などの運動量が大幅に減るでしょう。
通勤などでおこなっていた運動が1カ月間にわたり継続的にあるかないかで、脚筋力への影響が出てきます。
また運動量が減ることで、肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病になる可能性が高くなるでしょう。
メンタル不調を原因とした健康リスクも
在宅勤務はメリットもある一方で、以下のようなデメリットが挙げられます。
- 上司や同僚、部下とのコミュニケーションが取りづらい
- 職場のようにコミュニケーションが取れないため孤独感、孤立感を感じやすい
このようにコミュニケーション面で難しく感じる傾向があります。
コミュニケーションが取りづらいと、上司などが部下の心身の変化に気づくのも難しいでしょう。
その結果、メンタルヘルス不調を抱え健康を害するリスクが高くなってしまいます。
在宅勤務者に対する健康管理 6つの課題点と対策
在宅勤務者の健康管理は会社の義務ですが、課題点もあるのが現状です。
ここでは、6つの課題点と対策を解説していきます。
課題点①:労働時間の管理が難しい
在宅勤務は家で仕事をするため、労働時間とプライベートの時間の切り離しが曖昧になりがちです。
そのため、長時間労働になりやすく腰痛や肩こり、眼精疲労など健康に影響が出てしまう場合もあります。
長時間労働による健康障害を防止するため、企業として労働時間を管理する必要があるでしょう。
対策:長時間労働を防ぐための労働時間の管理
労務管理システムなどを活用し、長時間労働にならないよう以下のような工夫ができるでしょう。
- 時間外・休日または深夜におけるメールの送付の自粛を会社から命ずる
- 深夜や休日は社内システムにアクセスできないよう設定し制限する
- 在宅勤務をおこなう際の時間外・休日・深夜労働の原則禁止や、会社への許可制にする
- 長時間労働を行う従業員に自動で警告を表示し注意喚起をする
長時間労働への対策は、従業員の健康を守ることにもつながります。
課題点②:健康不良者の早期発見が難しい
在宅勤務は人事や上司の目の届かないところで仕事をするため、従業員の体調異変の把握が難しくすぐに対処できない可能性もあります。
また、従業員の様子が見えづらいため、メンタルヘルス不調の予兆に気づきにくいです。
対策:健康管理を効率的におこなうため健康管理アプリの導入
健康管理アプリを導入し、アプリでの集約システムの活用などにより、積極的な従業員の健康管理が可能になります。
健康管理システムの「mediment(メディメント)」は、従業員の健康データを一元管理し、データの活用・分析により健康データを見える化、従業員のパフォーマンス向上を実現するクラウドシステムです。
産業医とのオンライン面談やPCR検査申込みなどの新型コロナウイルス対策も網羅しています。
健康管理の業務効率化を考えるなら、「mediment(メディメント)」にご相談ください。
課題点③:従業員のメンタル不調の防止
在宅勤務にはメリットがある一方で、非対面のため上司や同僚などとの何気ない会話や相談がしづらくなり、悩みを抱え込んだり、コミュニケーション不足による孤独感や孤立感を感じたりする場合もあるでしょう。
パーソナル総合研究所の「第3回新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響」に関する緊急調査によると、このような回答がありました。
- テレワーク環境下では非対面のやりとりで相手の気持ちがわかりにくく不安
- 会話が減って寂しさを感じる
また新入社員や中途採用の社員、異動直後の社員は業務を十分に理解できていなかったり、職場での人間関係が十分に構築されていなかったりするため、不安やストレスを感じやすいです。
長期間不安やストレスを抱えたままでいると、メンタル不調につながる可能性が高くなります。
対策:従業員とのコミュニケーションの工夫
コミュニケーション不足の問題に対して、以下のような取り組みを実施するとしコミュニケーションの活性化を図れるでしょう。
- チャットやオンライン会議システムなどの積極的な活用
- コミュニケーションをとる機会の定例化
- 業務以外の場での交流機会の設置
働き方が変化する中でも、従業員や企業の状況に応じた適切なコミュニケーションを促進する取り組みを積極的におこないましょう。
課題点④:心身の健康の早期対応
在宅勤務者は自宅などで仕事をするため、上司や同僚に直接会うことが少ないです。
そのため健康の異変があっても気づくのが遅れ、早期対応をするのが難しいでしょう。
在宅勤務であっても労働安全衛生法が適用されるため、企業は従業員の安全と健康確保のための措置を講じなければいけません。
対策:産業医とのオンライン面談
年に一度の健康診断や、ストレスチェックなどのメンタルヘルス対策を行い、従業員の心身の健康の早期対応に努めてください。
健康診断で異常の所見があった従業員に対しては、産業医と連携し受診推奨や再検査をすすめましょう。
労働安全衛生法では、面接指導は「問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこと」とされています。
心身の状況を把握するために、面接指導を行う医師と従業員とが相互に「表情、顔色、声、しぐさなど」を確認できるものであって、映像と音声の送受信が常時安定かつ円滑であることが求められています。
情報通信機器で面接指導をおこなう場合、従業員の様子を把握し必要な指導ができる状況で実施するよう努めてください。
しかし注意点として、オンライン会議システムを使って面談をする場合、「対面で面談するときよりも得られる情報が少なく、従業員の心身の状態が把握・評価しづらい」といった問題が発生する可能性もあります。
従業員の状況によっては、急遽対面による面談に切り替える、医療機関への速やかな受診を促すなど、臨機応変な対応も取り組むべき重要点になるでしょう。
課題点⑤:在宅勤務者の運動不足
働き方が大きく変わりつつあり、在宅勤務を採用する企業が急速に増加しています。
社内会議はインターネットを介したものに切り替えられ、取引先への訪問の機会も極端に減少しました。
そのため自宅にいる時間が長くなり、身体活動量が減ってしまった人も多いでしょう。
運動不足は健康を害するリスクも高まります。
在宅勤務であっても健康管理のため、運動習慣を工夫し運動不足解消を目指す必要があるでしょう。
対策:在宅勤務で取り組める健康情報の発信
在宅勤務にともなう生活環境の変化によるストレスは、睡眠障害やアルコール摂取の増加、家族とのコミュニケーションにも影響を及ぼしかねません。
運動はストレス解消にはもっとも効果が期待でき、誰にでも簡単にできます。
ワーク下での運動不足対策として、
- 毎日同じ時間に運動に関する動画を配信
- 疲れが溜まってきやすい夕方の時間帯に、運動や机に向かわずに打ち合わせをする時間を設定
などの工夫をしている企業もあります。
対策⑥:働き方の選択肢を設ける
一般的に在宅勤務の実施が難しい業種・職種であっても、個別の業務によっては実施できる場合もあります。
必ずしも在宅勤務前の業務方法を前提にテレワークの対象業務を選定するのではなく、仕事内容の本質的な見直しを検討することが有用な場合もあるでしょう。
しかし、オフィスに出勤する従業員のみに業務が偏らないよう注意も必要です。
対策:在宅勤務日を従業員が選べるようにする
在宅勤務可能日(従業員の希望、当番制、頻度など)を従業員が選べるような対策が挙げられます。
在宅勤務を円滑に実施するにあたって、会社と在宅勤務者で十分に話し合い、ルールを定めておきましょう。
在宅勤務がスムーズに行える環境は、ストレス軽減につながり生産性の向上が期待できます。
在宅勤務における健康管理への企業の取り組み3選
企業が実際に在宅勤務者に対して取り組んだ事例を3つご紹介します。
在宅勤務下におけるコミュニケーションの活性化に取り組んだ事例
システム開発をおこなっている企業では、在宅勤務により従業員同士のコミュニケーションが減り、オンライン上ではお互いの様子が見えないため声がかけづらく、悩みを抱え込んでしまう従業員も出てきました。
また、テレワークにより成果を出さなければ評価されないと、過度にプレッシャーを感じる従業員が増えるように…。
対策として、取締役と従業員との1on1の面談を月1回実施したり、テレワークで働く場合でも週2回程度の出社を呼びかけたりしてコミュニケーションの活性化をはかっています。
同時に、チームを越えたコミュニケーションの推奨もしています。
メンタル不調の予防を重視した取り組み事例
業務用プリンター販売などをおこなっている企業では、テレワーク下では労務管理が困難になったり従業員の心身の状況が見えづらくなる恐れがあるという課題を抱えていました。
また、コミュニケーションや体操をおこなう貴重な機会である朝礼が実施できないという悩みも生じていました。
対策として、勤怠管理アプリを活用し、出社時と同様の労務管理を実施したり、出退勤時にそのときの気分を把握する簡単なアンケートを実施したりして、不調者の早期発見に取り組んでいます。
また、オンライン会議システムを活用して朝礼を行い、遠方の従業員も参加できるようにしました。
対策後、職場の一体感が増すなどの結果が出ています。
産業医との連携による健康管理をおこなった事例
人材派遣や転職支援をおこなっている企業では、在宅勤務を週3日以上実施するようになり、孤独感や孤立感を抱く従業員やストレスを訴える従業員が増加しました。
また、営業職の業務負荷が上昇するなどの課題も…。
対策として、Web会議システムを活用し仕事と関係なく雑談できる環境を提案したり、健康経営の一環でチームで参加するイベントを開催したりしています。
また、営業職全員に対して産業医と連携し、オンラインでの面談を実施しています。
企業は在宅勤務者の健康管理も義務として積極的に取り組もう!
在宅勤務は従業員にとってはワークライフバランスの確保、企業にとっては業務効率化による生産性の向上などさまざまなメリットがあります。
しかし、職場との環境が異なる面も多く、コミュニケーションや労務管理対策に取り組むことも重要です。
企業は在宅勤務者の健康管理やメンタルヘルス対策を積極的におこない、従業員の活性化につなげましょう。