Q. 安全衛生関連の義務を違反してしまった場合の罰則がまとまっている資料などはありますか?また、違反している場合、どのようにそれが明るみにでるのでしょうか?
A. 罰則規定の一覧に関してですが、労働安全衛生法に関しては、労働安全衛生法 第十二章 罰則(第百十五条の三-第百二十三条)で労働安全衛生法における罰則規定が定められています。
こちらには、労務管理に関わる、労働基準法や労働関係調整法、労働契約法など他の法律の罰則規定は記載されていません。
違反が明るみになるルートは、主に内部告発が労基署に届き、労基署が監査に入り発覚するケースが多いようです。
労働者が安心安全に働けないと感じた場合、事業所に直訴するのではなく、労基署に相談することによって発生します。
最近、心理的安全性という言葉がトレンドになっていると思いますが、こちらは自由に発言できる組織のことを指す用語ですが、安心安全に、そして衛生的に働ける環境を整えることも、心理的安全性の第一歩ではないかと思います。
Q. 労働衛生がメインの解説でしたが、労働安全のそれぞれの役割を教えてください。
A. 1回目の資料に、各用語の解説があるので、そちらもご参照ください。
労働衛生とは、労働環境において、「健康を守ることや健康の保持増進、疾病予防」を意味しています。
労働安全とは、労働環境において、安全であることを意味しています。
安全とは、「危険がなくて安心なこと」、「危険はゼロではないが、少なくとも許容不可な危険はない状態のこと」を指します。事業場や業種などの労働環境や、労働者の属性などにより、事業場毎の課題は違ってきます。
どんな形態の事業場であっても、労働安全上のリスクは当然ありますし、そのために衛生管理者は週に1回以上、職場巡視が義務付けられています。
そのため、衛生における健康課題が優先度が高い事業場もあれば、危険が多い環境での作業による安全のリスクの方が優先度が高い事業場もあると思います。
どちらを優先するとか、どちらがより大事という一般論はなく、企業全体の課題と優先順位を見極めることに注力することが、企業課題にも労務管理の課題にもつながっていくことになります。
そのため、業務効率を上げたり、生産性をあげて、時間を捻出し、事業場の課題にあわせて、課題解決のための取り組みを実践していくことが重要です。メディメントのサービスでは、それを支援していきたいと思って、サービスを創り上げています。
Q. 心の健康はなかなか数値等で把握できません。心の健康状態を管理する何かいい方法はありませんか?
A. まずは、義務づけられているストレスチェックを存分に活用していくことです。分析をしていったり、他の情報を合わせると実に様々なことが見えてきます。他の回では、ストレスチェックについても学んでいきますので、参考にしてください。
また、ストレスチェックは年に1回のため、もっと定期的に心の健康を数値化したいようであれば、11回目で行う長時間労働の回でも紹介しますが、こころの耳にある「疲労蓄積度チェックシート」や、独立行政法人労働安全衛生総合研究所の「長時間労働者の健康ガイド」内にある「セルフチェックシート」も活用できます。
こちらのふたつは、主に長時間労働者等のリスクが高い方に活用するものです。もし、ポジティブな状態も含め、全労働者の状態を把握したいと思われるようでしたら、他社さんのサーベイサービスなどを検討されるのも良いと思います。
Q. 予防接種の管理はシステムで行えますか?
A. 弊社のサービスでは、抗体管理機能がございます。こちらは、麻疹・風疹・流行性耳下腺炎・水痘・B型肝炎の予防接種歴と抗体値の管理ができる機能となっております。医療業界や介護業界にご好評いただいている機能でございます。
コロナワクチンやインフルエンザ、その他ワクチンなどは対応しておりません。
Q. 事務職の安全衛生教育について参考になる資料や具体例があれば教えて頂きたいです。
A. 事務職の健康課題としてよく取り上げられるのが、長時間の座り姿勢による、運動不足、腰痛や肩こり、眼精疲労等があげられます。運動不足によって、生活習慣病などの疾病の発生リスクが上がることや、腰痛や肩こり、眼精疲労などはプレゼンティズムにつながるため、これらを解消するための取り組みや教育が望ましいと思います。
腰痛に関しては、厚生省と吉本興業が協力して作成した「【厚生労働省】スベっちゃダメよキャンペーン啓発動画」がありますので、楽しく学べて転倒予防などにもつながると思います。厚生労働省のyoutubeチャンネルには、労務管理や労働衛生について学べる動画もありますので、のぞいてみてください。また、労働者健康安全機構にも各種教材・マニュアルがありますので、ご活用いただけるものがあるかもしれません。
生活指導や保健指導は、保険組合で実施していることもあるかもしれないので、確認してみるとよいかもしれません。保険組合のホームページ内に教材があれば、それも活用できるかもしれませんね。
また、地域の産業保健総合支援センターも活用していますでしょうか?各種リーフレットなども多く取り揃えていますし、無料のセミナーも地域特性に合わせて開催していますので、一度足を運んでみるのも良いかもしれません。
弊社は、毎朝、朝会前に全員でラジオ体操を実施したり、週一回の全体会議の後にもデスクワークの肩こり解消などのリフレッシュ体操を行っています。また、自社で作成したセミナーのアーカイブ動画を社内研修で見たりしています。無理のない範囲で継続できる取り組みが見つかると良いですね。
Q. 衛生管理者の業務は、法律通り遂行しようとなると多岐に渡り、時間と手間がかかるように思います。他社さんはどのような安全管理体制を敷いて、どこまでの範囲を実施しているのか、役割分担はどうなっているのか、情報があれば嬉しいです。
A. 教科書的な安全管理体制については、本セミナー6回目の衛生管理者について、8回目の衛生委員会などでも触れていきますので、ご参照ください。
業務範囲や役割についてですが、どの企業様も健康管理の専任はおらず、他の労務管理と兼任していらっしゃるようです。業務の中では、健診の予約業務や、労基署への報告、受診勧奨などが特にご負担であるとのお声をいただき、弊社のサービスを導入することにより業務の効率化を図っていらっしゃる企業様も多いです。
本来は、健康障害が起こりそうなハイリスク者に対してのアプローチや、事業場全体の健康度を上げるような全社的な取り組み、いわゆるポピュレーションアプローチを行い、企業課題の要因を解決していくことが労働衛生の目的です。
その取り組みができるようにするためには、まず、従来の業務やタスクの洗い出し→負担になっている業務の洗い出し→業務効率化を検討→実施を行い、業務効率化を図った後に、事業場全体としての健康取り組みの計画として、ハイリスク者への支援と、事業場全体の取り組みの両輪を検討して実践していく、という流れになると思います。
貴社が、現在どのような状況にあるか分かりかねますが、日々のタスクをこなしている状態であれば、定型業務の業務負担を減らすために、まず、ボトルネックになっている業務の洗い出しと、その効率化を検討されることをおすすめします。
Q. 健康診断で不具合があった項目があっても、中々病院に行かない従業員(高血圧症、糖尿病等)、生活スタイルを是正しない従業員(ヘビースモーカー、肥満、多量飲酒者等)に対して改善方向に向かわせる方法等が知りたい。
A. どちらの企業様からも、よくいただくご相談です。健康状態が心配ですし、健康でいきいきと就業していただきたいので、悩ましいですよね。
まず、経営層とも相談していただくこととしては、二次健診の受診時間を業務時間として認めるかどうか、です。業務時間として認めるので、行ってきてくださいとすると、医療機関が空いている時間になるので、受診をしやすいし、予定を調整しやすくなり、受診率が向上します。
こちらの取り組みがまだでしたら、ぜひ前向きに検討されてください。
また、このようなハイリスク者の方たちに、根気強く向き合って、健康管理を促すことが、労働衛生の主業務といっても過言ではありません。他の業務を効率化して、時間を捻出して、ここに時間を割いています。産業医にも協力が得られるようでしたら、面談をしていただき、勧奨していきましょう。
禁煙対策やヘルスリテラシー向上の他社の取り組みについては、健康経営優良法人の取得の事例を参考にされるとよいと思います。思い切った取り組みもあれば、数年かけてじわじわと改善していった事例、インセンティブ等で取り組み冒頭の景気づけをした事例など、色々とありますので、参考にできそうなものが見つかると思います。
Q. (第3回の資料について)労働安全衛生法は「政令」と「法律」どちらの表記が正しいのでしょうか?
A. 13ページ目国会で可決された労働安全衛生法がまずあります。その下に、命令として、政令と省令があります。法律である労働安全衛生法の下に、政令である労働安全衛生法施行令と労働安全衛生法関係手数料令が内閣によって定められます。そして、厚生労働省で、労働安全衛生法に紐づいて、労働安全衛生規則や有機溶剤中毒規則等の細かな各種省令が定められています。
法律や政令は大枠を示しています。大枠だけだと、実際の運用が分からないので、省令以下の公示・告示や通達・通知などで、「具体的にこのようにするんだよ」と解説しているイメージです。
Q. 年次有給休暇取得促進に関する他社のアイディアの情報があればお聞かせいただきたいです。
A. 働き方・休み方改善ポータルサイト内に、年次有給休暇取得促進特設サイトがあり、そちらに他社事例もありますし、休暇の取得の進め方などが載っています。是非参考にしてみてください。
Q. 賃金支払いの五原則の詳しい説明を教えていただけますでしょうか。
A. 厚生労働省HP内のよくある質問の「賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。」の質問に対する労働基準局監督課の回答を引用させていただきます。以下です。
賃金については、労働基準法第24条において、(1)通貨で、(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1回以上、(5)一定の期日を定めて支払わなければならないと規定されています(賃金支払の五原則)。
通貨払の原則は、貨幣経済の支配する社会において最も有利な交換手段である通貨による賃金支払を義務付け、これによって、価格が不明瞭で換価にも不便であり、弊害を招くおそれが多い実物給与を禁じたものです。
直接払の原則は、中間搾取を排除し、労務の提供をなした労働者本人の手に賃金全額を帰属させるため、労働者本人以外の者に賃金を支払うことを禁止するものです。ただし、使者に対して賃金を支払うことは差し支えないものとされています(昭和63年3月14日付け基発第150号)。使者であるか否かを区別することは実際上困難な場合もありますが、社会通念上、本人に支払うのと同一の効果を生ずるような者であるか否かによって判断することとなります。
全額払の原則は、賃金の一部を支払留保することによる労働者の足止めを封じるとともに、直接払の原則と相まって、労働の対価を残りなく労働者に帰属させるため、控除を禁止するものです。ただし、所得税の源泉徴収など、公益上の必要があるものや物品購入代金など事理明白なものについては例外とすることが手続の簡素化につながるほか、実情にも合うことから、法令に別段の定めがある場合又は労使の自主的な協定がある場合には一部控除することが認められています。
毎月払の原則は、賃金支払期の間隔が開き過ぎることによる労働者の生活上の不安を除くことを目的としており、一定期日払の原則は、支払日が不安定で間隔が一定しないことによる労働者の計画的生活の困難を防ぐことを目的としています。
Q. 管理監督者の勤怠管理の義務化とありましたが、兼務者が多く、実体と合わない書類を整備すのが得意とする組織も多いと思いますが、正しく行うためのノウハウを教えてください。
A. 働き方改革関連法案で、労働時間の把握の義務が生じている労基法上の「管理監督者」とは、労働条件の決定やその他の労務管理について経営者と一体的立場に立つ者で、①職務内容、②責任と権限、③勤務態様、④待遇などを総合的に勘案して判断します。兼務者が①~④に該当しなければ、労基法上の管理監督者に該当しないため、労働時間の把握は当然行われるべきです。また、①~④に該当したときにも、出勤簿やタイムカード等の客観的な労働時間の記録が必要となります。
最近は、客観的な労働時間把握のための優秀な勤怠管理システムがたくさんあります。そういったものを導入することで、適切な労働時間管理に繋がります。実態とあわない書類の整理をして、貴重な労働時間を費やすのではなく、本当に自社にとって課題解決となる適切な労働時間管理や法令遵守に時間を費やすことが大切です。そのため、ノウハウとしては、法令の設置理由や裏にある目的を理解することが重要でしょう。
「やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合」は何をさし、それ以外は把握するというのがどの程度かといいますと、出雲労働基準監督署の通達の「解釈通達の概要」を読むと参考になるかもしれません。こちらに転記しておきます。以下です。
「やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合」としては、例えば、労働者が事業場外において行う業務に直行又は直帰する場合など、事業者の現認を含め、労働時間の状況を客観的に把握する手段がない場合をいうこと。ただし、労働者が事業場外において行う業務に直行又は直帰する場合などにおいても、例えば、事業場外から社内システムにアクセスすることが可能であり、客観的な方法による労働時間の状況を把握できる場合もあるため、直行又は直帰であることのみを理由として、自己申告により労働時間の状況を把握することは、認められない。
また、タイムカードによる出退勤時刻や入退室時刻の記録やパーソナルコンピュータの使用時間の記録などのデータを有する場合や事業者の現認により当該労働者の労働時間を把握できる場合にもかかわらず、自己申告による把握のみにより労働時間の状況を把握することは、認められない。
Q. 通知・通達、告示・公示 の情報はどこから入手することができますか?トピックに絞った効率的な検索などは可能でしょうか?
A. 中央労働災害防止センターの安全衛生情報センターの検索が関連法案に絞られているので楽かもしれません。安全衛生情報センターでは、事業場が関係する各種法令・政令・公示・通達などを、お知らせコーナーや、「法令・通達」のページの更新履歴で情報共有してくれています。ここが、最新の内容がまとまっていて分かりやすいかと思います。
また、「電子政府の総合窓口(e-Gov)所管法令・告示・通達外部サイト」では、各省庁所管の法令・告示・通達等データベースへのリンクがあり、キーワードで検索することができますが、キーワード検索で難しいこと、公開されている通達等の範囲が省庁によって違うということがあります。
Q. 管理監督者の勤怠管理の義務化とありましが、詳細教えていただきたいです。
A. 2019年の働き方改革関連法の改正で、管理監督者の労働時間を把握するように義務付けられました。高度プロフェッショナル制度対象労働者を除くすべての労働者が対象です。客観的な方法で労働時間を把握し、記録を3年間保存する必要があります。労働時間の未把握は、罰則規定はありませんが、法令違反是正勧告の対象となります。
どの程度の実態把握をする必要があるのか、については、労働時間の客観的な把握の方法の「その他の適切な方法」を見ると参考になるかもしれません。それは、厚生労働省労働基準局長からの「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働安全衛生法及びじん肺法関係の解釈等について」に以下の記載があります。「その他の適切な方法」としては、やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合において、労働者の自己申告による把握が考えられる が、その場合には、事業者は、以下のアからオまでの措置を全て講じる必要がある。
ア 自己申告制の対象となる労働者に対して、労働時間の状況の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。
イ 実際に労働時間の状況を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、講ずべき措置について十分な説明を行うこと。
ウ 自己申告により把握した労働時間の状況が実際の労働時間の状況と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の状況の補正をすること。
エ 自己申告した労働時間の状況を超えて事業場内にいる時間又は事業場外において労務を提供し得る状態であった時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。
その際に、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間の状況ではないと報告されていても、実際には、事業者の指示により業務に従事しているなど、事業者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間の状況として扱わなければならないこと。
オ 自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、事業者は、労働者が自己申告できる労働時間の状況に上限を設け、上限を超える申告を認めないなど、労働者による労働時間の状況の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。
また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の状況の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該阻害要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。
さらに、新労基法の定める法定労働時間や時間外労働に関する労使協定(いわゆる36協定)により延長することができる時間数を遵守することは当然であるが、実際には延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているよ うにすることが、実際に労働時間の状況を管理する者や労働者等において、慣習的に行われていないかについても確認すること。
Q. 安衛法のくくりの産業看護師については、弊社にはいないこともあり、理解が進みません。教えてください
A. 労働安全衛生法上の保健師の位置付けについて、次のように位置付けられています。労働安全衛生法 66 条の 7 では、保健指導について、「事業者は健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師又は保健師による保健指導を行うように努めなければならない」 。また、労働安全衛生法 13 条の 2や、労働安全衛生規則 15 条の 2では、「事業者は、労働者数 50 人未満の事業場については、医師(必要な医学に関する知識を有する者)又は保健師(必要な知識を有する者として地域産業保 健センターの名簿に記されている者)に労働者の健康管理等を行わせるように努めなければならない」となっています。これらのように、労働安全衛生法上、産業医とともに産業保健を主体的に実施するうえでの、専門職としての知見を最大限に生かした業務を行っております。
ちなみに、保健師の就業状況ですが、平成19年の厚生省の調査では、保健師の中で事業場に就業している割合は1割に満たないそうです。定期健康診断を実施した事業場のうち、保健師又は看護師を選任していた事業場の割合についても、約3割です。 定期健康診断を実施している事業場の保健指導割合は3割ですが、保健師がいる事業場の保健指導実施率はなんと97.5%です。保健師がいることで、ハイリスクアプローチといわれる、健康を損なうリスクが高い人へのアプローチが強化できたり、従業員全体への健康教育が、より事業場の特性に合わせて実施できる、などのメリットが多くあります。
嘱託産業医から専属の産業医になる従業員数500人のタイミングで、保健師と産業医を常勤で雇入れるところもあります。また、従業員300名前後くらいで保健師を雇い、産業医と連携して専門的な業務を行っている事業場もあります。従業員が増えてくると、病気による休職者がではじめたり、事業場における健康の課題が、経営の課題にも強く影響してくることがあり、そのタイミングで保健師を探す事業場が多いようです。
Q. 衛生管理者の職場巡視が定期的に義務でありますが、50人未満の事業場では衛生推進者が行うと言われました。チェック表での確認をして記録に残せばいいのですか?
A. そうです。実施の頻度については指定がありませんが、おおむね月1回行っている事業場が多いようです。チェック表で確認をして、記録に残すと良いです。実施方法や保管は義務はありません。
ただ、チェック表を用いる理由としては、職場環境に関する項目や、安全衛生に関わる項目は多岐にわたります。チェック表を使うことで、抜け漏れが防げることです。また、実施したことが紙面として残ることも大切です。
保管義務がないのにもかかわらず、記録の保管を進める理由は、万が一、労働安全上のトラブルが起きたときに、職場巡視の項目が適当であったかを振り返ることができたり、万が一、労基署が来たときにも参考資料となるためです。
職場巡視のチェック項目については、茨城県産業保健総合支援センターの「職場の衛生管理チェックリスト集PDF」が参考になると思います。事業所の種別でポイントを記載しています。一般の事務所のチェックリストもありますが、有害業務を対象とした場面について細かく記載されているので、製造業であればこのまま活用できると思います。
職場巡視の視点が分からない時は、地域の産保センターの労働衛生コンサルタントや産業医等に依頼して、職場巡視のポイントや項目の過不足がないかを見てもらうこともできると思います。産保センターの活用も検討してみてください。
Q. 衛生委員会への出席率が低く、また、積極的な発言がない。衛生委員会の活性化を図る方法や議題、テーマがあれば教えてほしいです。
A. 「労働衛生基礎セミナー⑧衛生委員会とは? 参加メンバーや注意事項等を解説」はご覧いただいたでしょうか?
P23からP26まで、具体的な課題についての解決アイデアを記載しております。出席率に関しては、定期開催にする・定期開催の日時を工夫することができます。積極的な発言を促すコツについては、議長が各出席者に意見を伺うように工夫することができます。活性化を図るためには、積極的な発言の工夫と同じですが、さらに、意見に対して批判しない、どんな意見でもヒント・参考として検討するなどというルールを徹底する、経営者の意見は最後にする、などの工夫ができます。
テーマ選びですが、労働者の興味関心事項から入っていくことが望ましいです。全社アンケートで、話し合ってほしいことをアンケートをとることもできると思います。また、季節や時事をテーマにできるように年間計画を立てておくことでネタ切れを防ぐことができます。
Q. 個人別の化学物質ばく露管理のしくみとして企業が使えるようなものはあるのでしょうか。
A. 現状は、なさそうですね。厚生労働省や中災防でも特に提示していないので、現状も各事業場がexcel等で管理しているようです。今後は、リスクアセスメントの必要性もあるので、暴露が許容範囲を超える前のアラートや、複数因子によるリスク増大時のアラートなどが、各サービス提供企業より出てくるのではないかと思っております。
監修者情報
三浦 那美(メディフォン株式会社産業看護師/第一種衛生管理者)
看護師として大学病院の内科混合病院にて心疾患や糖尿病、膠原病などの患者対応業務に従事。その後、看護師問診や海外赴任向けの予防接種を行っているクリニックに転職。これら医療機関での経験を通じ、予防医療やグローバルな医療提供の重要性を感じ、メディフォンに入社。現在は、産業看護師として健康管理システム「mediment」のオペレーション業務やコンテンツ企画を担当。
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