安全衛生委員会のメンバーと構成人数は?誰が適任?選出方法まで確認
一部の企業に設置が義務付けられている「安全衛生委員会」。設置にあたり、どのような人を何人集めれば良いのでしょうか?
安全衛生委員会を設置するために必要な構成メンバーや人数、選出方法まで詳しく解説します。
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安全衛生委員会とは
「安全衛生委員会」とは、「安全委員会」と「衛生委員会」を統合して実施した場合の名称です。
安全衛生委員会・安全委員会・衛生委員会の違い
安全委員会と衛生委員会はそれぞれ一定の基準に該当する事業場に設置が義務付けられており、両方に該当する事業場は統合して開催することが認められています。統合する場合、「安全衛生委員会」として開催します。
それぞれの大まかな違いは以下の通りです。
<安全委員会とは>
- 労働者の業務の危険防止や、安全を確保するための委員会
- 一定の基準に該当する事業場に設置が義務付けられている
<衛生委員会とは>
- 労働者の健康やメンタルヘルスの不調を防止するための委員会
- 一定の基準に該当する事業場に設置が義務付けられている
<安全衛生委員会とは>
- 安全委員会と衛生委員会を統合した委員会
- 衛生委員会と安全委員会、両方の設置義務対象の事業場が統合して開催することが認められている
安全委員会と衛生委員会で具体的に話し合う内容は、以下図のような「調査審議事項」として、労働安全衛生規則に定められています。
引用:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「安全衛生委員会を設置しましょう 」
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安全衛生委員会の設置義務に該当する基準
安全衛生委員会は、安全委員会・衛生委員会両方の設置義務に該当する事業場が対象です。
安全委員会・衛生委員会の設置義務が発生する従業員の人数と業種 の条件は、以下の通りです。
<委員会の設置義務条件>
- 安全委員会…常時使用する労働者が50人以上で、一定の業種(以下図参照)に該当する事業場
- 衛生委員会…常時使用する労働者が50人以上の全ての事業場
引用:厚生労働省「安全委員会、衛生委員会について教えてください。」
常時使用する労働者の人数が50人以上の全ての事業場は、「衛生委員会」の設置が義務づけられています。そのうち上記図の業種の事業場は、「安全委員会」の設置も加えて必要です。
つまり、上記図の業種で労働者50人以上を雇用する企業が、「安全衛生委員会」を設置する事業場に該当します。
安全衛生委員会に義務付けられている内容
安全衛生委員会(安全委員会・衛生委員会も同様)は、開催にあたり以下の決まりがあります。
- 毎月一回以上開催すること。
- 委員会における議事の概要を労働者に周知すること。
- 委員会における議事で重要なものに係る記録を作成し、これを3年間保存すること。
年間スケジュールで月に一回以上の開催日を事前に決めておきましょう。
議事録の作成から従業員への周知方法まで、委員会開催前に取り決めをしておくことがおすすめです。
安全衛生委員会に必要な「5つの構成メンバー」と「各人数」
安全衛生委員会を設置する場合、具体的にどのようなメンバーを何人集めればよいのでしょうか。
構成メンバーと各人数をご紹介します。
安全衛生委員会に必要な5つの構成メンバー
まず、安全委員会・衛生委員会には、それぞれ以下の委員の選出が必要です。
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「安全衛生委員会を設置しましょう 」より引用
安全衛生委員会は安全委員会・衛生委員会を統合したものですので、必要な委員は以下の5つです。
- 総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者若しくはこれに準ずる者
- 安全管理者
- 衛生管理者
- 産業医
- 労働者(安全・衛生に関し経験を有する労働者)
構成メンバーの各人数
上記5つの構成メンバーのうち、「1.総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者若しくはこれに準ずる者」は1名と決まっています。
それ以外の4つの構成メンバーの各人数に、法令上の決まりはありません。事業の規模や、業務の実態に即して対応しましょう。
安全衛生委員会5つの構成メンバーの「役割」と「適任者」
安全衛生委員会を構成する5つのメンバーの各役割と、それぞれの適任者を確認していきます。
1.総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者若しくはこれに準ずる者
委員会の議長を務める重要な役割です。
「総括安全衛生管理者」がいる場合は、管理者に任せましょう。「総括安全衛生管理者」とは、従業員の安全・衛生を統括的に管理する人で、一定の規模以上の事業場に選任が義務付けられています。
「総括安全衛生管理者」の選任要件と「安全衛生委員会」の設置要件には違いがあり、安全衛生委員会を設置する事業場に総括安全衛生管理者が必ずいるとは限りません。
総括安全衛生管理者がいない場合は、支店長や工場長、あるいは人事総務部長など、当該事業場における事業を実質的に統括管理する権限、および責任を有する者から選びましょう。
役職などの名称は何であってもかまいません。
2.安全管理者
安全管理者とは、総括安全衛生管理者の職務のうち「安全」に係る技術的事項を職務とする管理者です。一定の業種及び規模の事業場ごとに選任が義務付けられています。
安全管理者は専門的な知識が必要で、以下の要件を満たす者と決められています。
- 労働安全コンサルタント試験(国家試験)に合格した者
- 高校、大学等の理科系等の学科を修めて卒業し、一定以上の産業安全の実務経験があり、厚生労働省が定める研修を修了した者 など
安全管理者がいない事業場は、人事や総務、あるいは庶務部門の人などが資格をとって担当する場合が多いです。
3.衛生管理者
衛生管理者とは、総括安全衛生管理者の職務のうち「衛生」に係る技術的事項を職務とする管理者です。
常時50人以上の労働者を使用する事業場に選任が義務づけられており、選任する人数は事業場の労働者数に応じて決められています。
衛生管理者は、業種に応じた資格が必要な専門的な管理者です。衛生管理者がいない事業場は、安全管理者と同様に、適任者が資格をとって担当しましょう。
4.産業医
産業医とは、事業所で医学的な知識をもとに従業員の健康管理にあたる医師です。
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医を選任することが義務付けられています。安全衛生委員会の設置義務のある事業場には、必ず選任されている医師です。
5.労働者(安全・衛生に関し経験を有する労働者)
安全・衛生に関して経験を有している労働者で、資格などは必要ありません。実際に事業場で働き、現場の状況がわかる人が適任です。
安全衛生委員会の構成メンバー「選出方法」
安全衛生委員会の各構成メンバーは5つあり、事業場が選出します。選出の基準や、選出した後の対応を解説していきます。
構成メンバーの選出方法
「1.総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者若しくはこれに準ずる者」の選出方法
「総括安全衛生管理者」は選出基準が決まっています。必要な事業場にはすでに選出されているはずですので、管理者に任命しましょう。
もしいない場合は、役職などの名称は何であってもかまいません。事業場における事業を実質的に統括管理する権限および責任を有している人から事業場が選出しましょう。
支店長や工場長、人事総務部長などが適任です。
「1.総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者若しくはこれに準ずる者」以外の4つの構成メンバーの選出方法
「1.総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者若しくはこれに準ずる者」以外の4つの構成メンバーについては、以下の条件があります(ただし、労働者の過半数で組織する労働組合との間における労働協約に別段の定めがあるときは、その限度において適用されません)。
- 構成メンバーのうち半数は、労働者の過半数で組織する労働組合の推薦に基づき指名する
- 過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名する
2つの条件は、委員会での話し合いが企業からの視点だけでなく、労働者からの視点での意見も取り入れ、実質的に役立つ審議とするための配慮です。
構成メンバーの人数に決まりはありませんので、企業と労働者が平等に意見交換できるよう、バランスを取りながら選出しましょう。
また可能な限り様々な部署から選出し、各部署における問題点・意見が委員会に反映されるようにしてください。
構成メンバーの選出期限と報告義務
委員会設置のために管理者を新たに選出した場合は、所轄労働基準監督署に報告が必要です。
安全衛生委員会の設置にかかわらず、総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医は、選出すべき自由が発生した日から14日以内に選任しなければなりません。所轄労働基準監督署への報告も義務付けられています。
もし委員会を設置するにあたり上記管理者を新たに選び出した際は、所轄労働基準監督署への報告を忘れずに行いましょう。
報告様式はこちらです。⇒
「総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告」
安全衛生委員会を構成するメンバーはバランス良い人数で適切に選任を
安全衛生委員会の構成メンバー・人数と各役割、適任者と選出方法などを解説しました。
安全衛生委員会の設置目的は、労働者の危険や健康障害を防止するためです。企業からの視点だけでなく、専門家の意見と、実際に現場で働く労働者の意見は必要不可欠です。
安全衛生委員会を設置する際は、ルールに沿って適正な者をバランスの良い人数で選出し、より良い職場環境を目指す審議となるよう務めましょう。
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