ストレスチェックを拒否する従業員への対処法&放置した場合のデメリット
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「ストレスチェック」という言葉は、企業に勤めている人ならば、一度は耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
しかし、昨今では「ストレスチェック」を受けたくないと拒否する従業員が増え、企業側の人事部や労働管理担当者から悩みの声が募っています。
本記事ではそんな企業側の悩みを解決するべく、ストレスチェックを拒否する従業員への対処法や放置することによる、企業側・従業員側のデメリットそれぞれを解説します。
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ストレスチェックを拒否されるとどうなる?
そもそもストレスチェック制度とは、常時50名以上の従業員がいる事業所において、労働者を対象に、1年以内に1回の実施が義務付けられているものをいいます。
労働者のストレスの程度を把握し、労働者自身のストレスへの気付きを促すとともに、職場改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることによっ て、労働者がメンタルヘルス不調となることを未然に防止すること(一次予防)を 主な目的としたものです。
実施義務だが法的な罰則はない
ストレスチェックの実施は、2015年12月から開始され、常時使用する労働者の人数が50人を超える場合は、実施義務があります。
事業者はストレスチェックを実施しなかったからといって法的な罰則があるわけではありませんが、労働者の人数に応じてストレスチェックをする必要があります。
一方、労働者がストレスチェックを受けるか否かは本人の自由となっています。
数値で見るストレスチェックの実施状況
ストレスチェックの実施状況について、2017年6月時点での実施率(実施が義務付けられている事業所のうち、実施報告があった事業所の割合)は82.9%でした。
一方で、ストレスチェックを受けた労働者の割合は78.0%という結果が出ています(厚生労働省「ストレスチェック制度の実施状況」2017年7月26日)
ストレスチェックにより、労働者のメンタルヘルス不調を早期発見し、未然に防くことができれば、事業所にとって労働生産性アップにつながります。労働者のストレスチェック受検率が低い現状は、事業所にとって悩ましい問題といえるでしょう。
ストレスチェックを拒否した場合のデメリットとは
ストレスチェックを拒否することにより、従業員はもちろん、企業側にとってもデメリットが生じます。実際、それぞれにとってのデメリットはどのようなものでしょうか。それぞれ整理していきましょう。
従業員側のデメリット:メンタルヘルス不調に陥る可能性
ストレスチェックを拒否することで、自身のメンタルの状況を把握しにくくなり、セルフケアがおろそかになる可能性があります。
ストレスチェックは、労働者それぞれが自己では気づけない「心の変化」や病気になる前の「疲れ」に気づけるチャンスの1つです。心の不調に気づけなければ、最悪の場合、自殺や過労死などを引き起こしかねません。
しかし、早期に心の不調や病気に気づければ、心の病気や体調不良を回避できるだけでなく、仕事へのモチベーションアップにつなげられるでしょう。
企業側のデメリット:休職・退職者の増加やトラブル遭遇、法的責任を追及されるリスクも
ストレスチェックを拒否する労働者が増えることで、企業側にとって2つの問題があります。
1つ目に、メンタルヘルス不調に陥る労働者の早期発見に遅れ、休職・退職者が増加するリスクが高まります。貴重な労働力が失われ、生産性も下がってしまいます。
2つ目に、ストレスチェックを拒否して受験しない従業員が、メンタルヘルス不調を起こし労災に発展した場合には、労働基準監督署から「安全配慮義務違反」としてストレスチェックの受検勧奨を怠っていたという指摘が入る可能性はあるかもしれません。
つまり、労働者のメンタルヘルスに関する健康リスクに目を向けていないと見なされてしまうということです。ストレスチェックの受検はあくまで労働者の自由ですが、企業の信用につながるため、企業側にとって、労働者のストレスチェック拒否は解決したい問題といえます。
知っておきたい「安全配慮義務違反」とは
企業者にとって、ストレスチェック実施をするにあたり、知っておくべき、「安全配慮義務違反」があります。
「安全配慮義務」とは、企業側が労働者に対して安全に働くことができるよう準備や配慮をする義務をいい、「安全配慮義務違反」は、ストレスチェック制度において企業側が労働者の受検拒否への受験勧奨などの、適切な対応をしなかったことで違反とみなされることをいいます。
ストレスチェックを拒否する従業員への適切な対処法
ストレスチェックを拒否する労働者に対して、企業が行うべき適切な対処法はどのようなものか、詳しく見ていきましょう。
1、拒否する理由をヒアリング
まず、労働者がストレスチェックを拒否する理由を知ることが大切です。例えば、人に言いづらいことや心配事があるなど、労働者が拒否するのには心理的なストレスや不安等の理由が隠れています。
担当者または第三者が労働者のプライバシーに配慮しながら、拒否する理由をヒアリングして、労働者への理解を深めることが必要です。そして、対策を行っていくことで、ストレスチェックに対する受検の心理的抵抗を無くせるでしょう。
2、制度への理解を深める取り組みの実施
ストレスチェックに対する心理的抵抗や不安により、受検率が低下している理由として、ストレスチェック制度に関する理解がされていないことが挙げられます。
受検者である労働者へストレスチェックに関する理解を深めるための取り組みとして、ストレスチェック制度そのものや制度の目的、メリット・デメリットを説明する等、企業側の努力も大切です。
3、高ストレス者には医師による面接指導の適切な勧奨を
ストレスチェックを受け、「高ストレス者」と判定された場合、企業は受検者である労働者へ、医師による面接指導を受けるよう勧奨を実施します。
高ストレス者、つまりストレスの程度が高いと判定された労働者は、目に見えない部分でストレスを抱え、うつ病などの精神疾患の一歩手前であるケースもあります。
面接指導は、高ストレス者が自己のメンタルを正しく認識し直せる機会提供につながるため、企業は高ストレス者への面接指導等の勧奨を積極的に実施することが大切です。
ストレスチェック拒否者への適切なフォロー&体制づくりを
ストレスチェック制度は企業の義務ですが、労働者にとっては任意のため、受検を強制することはできません。
しかし、ストレスチェックは、自己でも気づけないメンタルヘルス不調に気づきを与え、不調や病気の発症を未然に防げる大切な機会です。
企業は、労働者が「心の健康に目を向けるチャンス」と捉え、ポジティブにストレスチェックを受験できるようフォローやサポートづくりをしていく必要があるでしょう。
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