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ストレスチェックに欠かせない衛生委員会とは?組織の概要や活動内容について解説

常時50人以上の労働者が在籍する事業所では、衛生委員会の設置およびストレスチェックの実施が義務づけられています。衛生委員会にはどのような役割や目的があるのでしょうか。

この記事では、ストレスチェック制度における衛生委員会の役割や審議内容を中心に、まとめて整理していきます。


目次[非表示]

  1. 1.衛生委員会とは?
  2. 2.衛生委員会を構成する4つの役職
  3. 3.ストレスチェックにて衛生委員会が求められる審議内容9つ
  4. 4.衛生委員会の活性化に欠かせない運用サイクルとは
  5. 5.衛生委員会の活性化からストレスチェックを成功に


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  ストレスチェック制度完全マニュアル~概要から実施方法まで徹底解説~ 2015年12月より、労働安全衛生法第66条の10に基づいて、一定規模を超える事業場に対して、ストレスチェックの実施が義務付けられました。 この記事では、ストレスチェック制度の概要や、実施マニュアルにのっとったストレスチェックの実施方法を解説していきます。 mediment(メディメント)


衛生委員会とは?

まずはじめに、衛生委員会の概要や目的について解説します。

衛生委員会の目的や、間違えやすい「安全委員会」「安全衛生委員会」との違いについて、詳しく見ていきましょう。



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労働者の健康被害を防止する目的

衛生委員会は、常時使用する労働者を50人以上有する事業場に設置義務があります。(労働安全衛生法第18条)「労働者の健康被害を防止するための対策を講じること」が衛生委員会の目的です。

労働安全衛生規則によると、衛生委員会が開催される頻度は毎月1回以上とされています。


(衛生委員会)

<委員会の会議>

第23条 事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)を毎月1回以上開催するようにしなければならない。

引用元:労働安全衛生規則


労働者50人未満の事業所に衛生委員会の設置義務はありませんが、労働者の意見を聞く機会は必要とされています。衛生委員会だけでなく、それぞれの事業所に相談窓口などを設置するのが好ましいでしょう。


安全委員会・安全衛生委員会との違い

衛生委員会と混同しがちなのが「安全委員会」と「安全衛生委員会」の2つです。衛生委員会との違いについて、詳しくみていきましょう。


安全委員会:労働者の危険防止や労災対策を審議する。林業・建設業など、労働者に危険が及ぶ可能性のある一部の業種では、安全委員会の設置が義務付けられている。

安全衛生委員会:衛生委員会と安全委員会を統合したもの。安全委員会と衛生委員会どちらも設置義務のある事業所は、「安全衛生委員会」を設置するのが一般的。


安全委員会は、一部の業種に設置が義務付けられている組織のため、50人以上の事業所全てが設置する必要はありません。

対象となる業種の事業所は、「安全衛生委員会」を設置し、労働者の危険防止や健康被害の防止に努めましょう。


衛生委員会を構成する4つの役職

衛生委員会は、事業者が指定した4つの役職の委員で構成されます。衛生委員会を構成する4つの役職は以下のとおりです。


① 総括安全衛生管理者または事業場における事業の統括管理者もしくはこれに準ずる者:1名

② 衛生管理者:1名以上

③ 産業医:1名以上

④ 労働者のうち衛生に関する経験を持つ者:1名以上


②〜④の委員の半数は、過半数の労働者からなる労働組合の推薦が必要です。労働組合がない事業場の場合は、労働者の過半数を代表する人物からの推薦が必要となります。

ここで注意したいのが②の衛生管理者です。事業所の業種によって求められる国家資格が違うため、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。対象となる国家資格は以下のとおりです。


  1. 衛生工学衛生管理者免許
  2. 第一種衛生管理者免許
  3. 第二種衛生管理者免許
  4. 医師または歯科医師
  5. 労働衛生コンサルタント
  6. その他厚生労働大臣の定める者


ストレスチェックにて衛生委員会が求められる審議内容9つ

ストレスチェックを実施する際に、衛生委員会に求められる審議内容を整理していきましょう。

  1. ストレスチェックの目的と周知方法
  2. ストレスチェック体制の明示
  3. ストレスチェックの実施方法
  4. 集団ごとの集計方法についての審議
  5. ストレスチェック結果の保管方法についての審議
  6. ストレスチェック・面接指導の結果の活用方法の審議
  7. ストレスチェック・面接指導の結果の情報開示についての審議
  8. ストレスチェック・面接指導でのクレームに関する対応への審議
  9. 労働者に対する不利益な取り扱いの防止


項目数が多く感じるかもしれませんが、厚生労働省が発行する『ストレスチェック制度実施マニュアル』内に、ストレスチェック実施規定の具体例が提示されています。穴埋め式で審議を進められるよう配慮されていますので、うまく活用してみてください。


引用:厚生労働省『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』より一部抜粋


1.ストレスチェックの目的と周知方法

まずは、ストレスチェックがどのような目的で行われるのか、事業所内の認識を統一することが重要です。

ストレスチェックはメンタル不調の労働者を発見することが目的ではなく、ストレスチェックを通じて労働者自身に気づきを促すことや、労働環境の改善が目的である点を周知しましょう。

周知方法についても、受検時のメールに記載するなどさまざまな手法を実践し、審議を重ねながら工夫していくとよいでしょう。



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2.ストレスチェック体制の明示

ストレスチェックの実施者が複数いる場合は、実施者、共同実施者、産業医の氏名を明示しましょう。実施者の中に産業医がいる場合、実施代表者は産業医にするのが好ましいです。

外部機関で実施者を委託する場合は、委託契約の中で実施者、共同実施者、実施代表者の氏名を明示させましょう。


3.ストレスチェックの実施方法

ストレスチェック実施方法についても審議の必要があります。使用する調査票や実施期間、実施方法について決めておきましょう。

また、実施方法とあわせて、以下の内容も検討する必要があります。


  • 高ストレス者の選定方法
  • 面接指導の申出の方法


使用する調査表については、厚生労働省から配布されているものがありますので、そちらを使用するのもおすすめです。

厚生労働省:職業性ストレス簡易調査票(57 項目)


4.集団ごとの集計・分析方法についての審議

ストレスチェックは集団ごとに実施し、その結果を集計分析します。対象となる集団の規模や手法を定めましょう。


5.ストレスチェック結果の保管方法についての審議

ストレスチェックの結果は個人情報にあたるため、厳重なセキュリティのもとにする必要があります。


  • 記録を保存する実施事務従事者の選任
  • 記録の保存場所・保存期間
  • セキュリティの確保


これらの内容について、実施前に明確化しておきましょう。


6.ストレスチェック・面接指導の結果の活用方法の審議

ストレスチェックの結果を分析し、労働環境の改善に役立てていきます。そこで、結果をどのように反映するのか、どのような方法を利用するのかについても審議が必要です。


  • 事業者への提供にあたっての同意の取得方法
  • ストレスチェック結果、集団ごとの集計・分析結果および面接指導結果の共有方法および範囲
  • 同意を取得した上で、実施者から事業者へ提供する結果に関する情報の範囲
  • 集団分析結果の活用方法


これらの方法についてあらかじめ話し合っておきましょう。


7.ストレスチェック・面接指導の結果の情報開示についての審議

ストレスチェックの情報開示についての審議では、以下の内容について話し合いを行います。


  • 情報開示の手続き
  • 情報の開示に従事する担当者による秘密保持の方法


8.ストレスチェック・面接指導でのクレームに関する対応への審議

万が一、ストレスチェックを実施するうえでクレームが寄せられた場合、どのように対応すべきかの審議も必要です。

クレーム対応窓口を設置するなど、労働者が安心してストレスチェックを受けられる環境づくりを目指しましょう。


9.労働者に対する不利益な取り扱いの防止

労働者のストレスチェックの結果に対して、不利益な取り扱いをすることは法律で禁止されています。


  • ストレスチェックの結果をもとに、契約更新をしないこと
  • 退職勧告をすること
  • 面接指導の申出をしないことを理由とした不利益な取扱い


受検者がこれらの不利益な取扱いを受けないことを明記しておきましょう。


労働者はストレスチェックを受けないことを選択できる

ストレスチェックは、労働者が受検を自由に選択できる制度です。労働者にはストレスチェックを受検する義務はありません。

しかし、ストレスチェックを効果的にし、労働環境をより良いものにするためにも、ストレスチェックの受験が望ましいという制度の趣旨を事業所全体に周知させる方法について、検討を重ねていくと良いでしょう。

参考資料:厚生労働省『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』


衛生委員会の活性化に欠かせない運用サイクルとは

衛生委員会は、設置したもののうまく機能せずに形骸化してしまう事業所が多くなっています。衛生委員会が活性化するために欠かせない運用サイクルは、以下のとおりです。

衛生委員会(実施・審議)→人事部(実効性の確認)→取締役会(職場改善に努める)

衛生委員会だけでなく、人事部や取締役会と連携しながら、うまく運用サイクルを回していくようにしましょう。


衛生委員会の活性化からストレスチェックを成功に

今回は、ストレスチェック制度の実施における「衛生委員会」について、以下の内容を解説しました。


  • 衛生委員会とは?
  • 衛生委員会を構成する4つの役職
  • 衛生員会が審議すべき内容
  • 衛生委員会の活性化に欠かせない運用サイクル



衛生委員会は、常時労働者50人以上を有する事業場に設置義務があります。

労働者が安心してストレスチェックを受けられる体制を構築するには、衛生委員会の役割が大きく関与します。

また、ストレスチェック実施後は適切にPDCAサイクルを回し、次回以降の実施に向けて審議を積み重ねていくことも重要です。


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mediment(メディメント)は、従業員のあらゆる健康データを一元管理し、産業保健業務の効率化を支援するクラウドシステムです。 クラウドシステムならではの多彩な機能で、あらゆる業務のペーパーレス化を実現し、従業員のパフォーマンス向上に貢献します。

監修者情報

三浦 那美(メディフォン株式会社産業看護師/第一種衛生管理者)

看護師として大学病院の内科混合病院にて心疾患や糖尿病、膠原病などの患者対応業務に従事。その後、看護師問診や海外赴任向けの予防接種を行っているクリニックに転職。これら医療機関での経験を通じ、予防医療やグローバルな医療提供の重要性を感じ、メディフォンに入社。現在は、産業看護師として健康管理システム「mediment」のオペレーション業務やコンテンツ企画を担当。

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