中小企業の健康経営はメリットたくさん!現状の課題や取り組み事例を解説
資料DL「企業内担当者向け 『健康経営』の実践において 知っておくべき8つの ポイント」
最近よく耳にするようになった「健康経営」。今後の会社の発展のために興味はあるけれど、「そもそも健康経営は中小企業に必要なのか」「具体的に何に取り組めばいいのか」と疑問に感じている担当者の方も多いかもしれません。
この記事では中小企業の健康経営にフォーカスを当て、中小企業における健康経営のメリット、具体的な取り組み事例、成功に導くコツなどをご紹介いたします。
「コストをかけずに始められること」もたくさんありますので、参考にしてみてください。
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中小企業こそ健康経営のメリットが大きい!
「健康経営」とは、従業員の健康を本人任せにするのではなく企業が「経営的な視点」で捉え、従業員の健康管理や働きやすい職場環境作りを戦略的に実施することです。
健康経営については、以下の記事で詳しく解説しています。
実は中小企業にこそ、健康経営は必要です。その理由を確認していきましょう。
少人数だからこそ従業員の健康は企業全体の生産性に直結する
従業員数が少ない中小企業にとって、従業員ひとりひとりの健康は企業の生産性に直結します。
属人的な業務のためその従業員がいなくなると業務が回らなくなるなど、従業員が企業に与える影響は大きい場合もあります。
人数が少ない中小企業こそ個々の健康は重要であり、健康経営に取り組み、従業員が健やかに働ける環境を整えることが重要なのです。
また健康経営によって整えられた働きやすい環境により、欠勤率の低下や作業効率の向上も期待でき、超過勤務手当等の人件費などの経費削減も見込めるでしょう。
イメージアップにより雇用の確保も期待できる
健康経営は社内だけでなく、社外的にもイメージアップというメリットがあり、企業のブランド価値を上げ、就職希望者の増加が期待できます。
以下のアンケートからわかるように、実は現代の就活生は、 企業が「健康や働き方に配慮している」点を非常に重要視しています。
画像引用:経済産業省「健康経営の推進について」
中小企業にとって雇用の確保が難しい時代です。就職希望者の増加が期待できる健康経営は、中小企業にこそ重要な取り組みといえるでしょう。
中小企業にとって重要なリスクマネジメントに繋がる
健康経営に取り組むことは、生産性や雇用などのプラス要素だけでなく、企業のリスクマネジメントとしての役割もあります。
例えば業務中の事故や過労死、自殺などが起こってしまい賠償請求をされた場合、大企業と異なり、中小企業には高額な賠償額を支払う余裕がない場合が多いです。
健康経営により、従業員の健康を守り働きやすい環境を整えることで、事故や不祥事、労働災害などの予防に繋がるのです。
医療費の削減につながる
健康経営をおこない健康な従業員が増えることで病院にかかる割合が減り、結果的に企業の医療費の削減につながります。
健康経営が「見える化」できる認定制度などの活用もおすすめ
すぐにでも取り組める健康経営ですが、健康経営の取り組みを社内外へ発信できると、従業員の活力アップ、企業のイメージアップに繋げられます。
そこでおすすめなのが、国や自治体が実施している健康経営の表彰制度や認定制度です。
自治体のインセンティブ制度・表彰制度など
現代では社会全体で健康経営の意識が高くなっており、自治体も独自で様々な取り組みをしています。自治体の取り組みは地域に密着した内容なので、特に中小企業におすすめです。
表彰事例としては、以下のようなものがあります。
画像引用:経済産業省 ヘルスケア産業課「中小企業への健康経営の普及 平成30年7月」
これはあくまで一部であり、年々自治体の活動は大きくなっています。
表彰による「見える化」はもちろん、融資優遇、保証料の減額 ・奨励金や補助金などのインセンティブを付与する自治体も増えています。
詳しくは自社が所在している自治体へ、ぜひ問い合わせてみてください。
健康経営優良法人制度「中小規模法人部門」
健康経営優良法人制度とは、経済産業省が開始した健康経営の「見える化」を目的とした認定制度です。
健康経営優良法人の申請・認定数は2016年度から増え続けています。2022年度は申請数が前年より約1.3倍、認定数は約1.5倍となっており、認知度や関心の高さがうかがえます。
健康経営優良法人の認定基準とは?
認定の基準は以下図の要件となりますので、自社が挑戦できるのか参考に確認してみましょう。
画像引用:経済産業省「健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)認定要件」
「健康経営優良法人」の認定は、以下の5つの要件項目から成り立ちます。
- 経営理念・方針
- 組織体制
- 制度・施策実行
- 評価・改善
- 法令遵守・リスクマネジメント
5つの項目をさらに細かく分けた評価項目の中から、一定数以上を満たす必要があります。
健康経営優良法人の申請方法
健康経営優良法人の申請は、以下の流れでおこないます。
1.「健康宣言」事業の参加もしくは実施
2.認定申請書に回答し申請
3.対象に該当すればエビデンス調査の対応
4.健康経営優良法人認定委員会による審査
5.日本健康会議による認定
一つ目の「健康宣言」事業とは、従業員の予防・健康づくりに取り組む旨を、事業所や組織自らが宣言することです。
中小規模法人部門の認定には、「健康宣言」事業の参加が要件となっています。
基本的には事業者の加入する保険者または自治体が実施している「健康宣言」事業へ参加しますが、どちらも実施していない場合は、自社独自の宣言で代替されます。
「健康宣言」事業の参加・実施は申請前に必要な取り組みですので、はやめに取り掛かるといいでしょう。
健康経営優良法人については、以下の記事で詳しくご説明しています。
中小企業が健康経営をはじめる手順
健康経営は中小企業にこそ必要で、実は大きなコストをかけずに気軽にはじめられる施策だとお伝えしました。では、具体的に何からなにから取り組めばよいのでしょうか?
経済産業省が提示している中小企業向け健康経営の導入手順(以下図)を参考に、解説します。
画像引用:経済産業省「中小企業の経営者、人事・労務担当者の皆さま「健康経営」をはじめましょう!」
1.健康経営に取り組むことを宣言する
まずすべきことは、「健康経営に取り組む!」という企業としての意思を社内外へ告知すること(「健康宣言」と言います)です。可能であれば明文化して発信しましょう。
- 大きく告知することで社内全体での意識を高める
- 社外への発信により、企業価値のアピールを行う
これらの目的を意識して健康宣言を行いましょう。
中小企業の場合、協会けんぽが実施する「健康宣言」事業などを活用することもおすすめです。
健康宣言については、以下の記事で詳しく解説しています。
2.プロジェクトチームを作り環境を整える
次に行うことは、健康経営の取り組みをすすめるプロジェクトチームを作ることです。
人事・労務の担当者だけで取り組むのではなく、社内から複数名を任命し、役割分担を決め、チームとして取り組みましょう。
チーム内で様々な角度からの意見を出し合い、社員が賛同しやすい計画を立てられる、そういった環境を整えることが理想です。
1の健康宣言よりも先にチームを発足した方が取り組みやすい場合は、こちらを優先してもかまいません。
3.目標と計画を立て、実行する
チームが立ち上がり、社内外への宣言ができたら、自社の課題や予算に合わせた取り組み内容・目標を決め、計画を立てます。
この際、中小企業では特に以下のことが重要となります。
- 社員が賛同しやすく、自主的に取り組みやすい内容にする
- トップダウンの印象を与えないような発信にする
チームは、従業員の立場を理解した施策にするために集まっています。様々な角度から意見を出し合い、また上記で示したような他社の具体的事例などを参考にして、無理のない計画を立てましょう。
4.取り組みを評価し、次へ繋げる
健康経営の取り組みは、結果がすぐに出るものではありません。そのため結果を待つのではなく、こまめな見直しが大切です。
定期的にチームで集まり、実施状況や従業員の声などを評価し、振り返りを行いましょう。従業員の意見を参考にすることは一番重要で、継続的な取り組みへと繋がります。
中小企業における健康経営の課題と成功に導く4つのコツ
中小企業に起こりやすい課題から、健康経営を成功に導くコツを4つお伝えします。
1.従業員へ健康経営についてしっかりと説明する
健康経営の実施は、従業員が取り組みを負担に感じる可能性があるにもかかわらず、結果が出るまでに時間がかかる点が課題です。
そのため、従業員へ健康経営の意味や目的などをしっかりと伝えましょう。
- 従業員ひとりひとりを大切に思うからこその取り組みである
- 長期的に企業の発展に繋がる
など丁寧に説明し、従業員の理解を得るよう心がけましょう。
2.担当者・経営者が先頭に立って取り組む
健康経営の取り組みは業務と直接な関係がないため、どうしても従業員は後回しにしてしまいがちです。
従業員に積極的に取り組んでもらうために、健康経営を推進している担当者が先頭に立って実践しましょう。また可能であれば、経営者にも率先して取り組んでもらいましょう。
健康管理は必要なことであると従業員に感じてもらい、個々が自主的に取り組みやすい雰囲気作りが理想です。
3.予算がない場合は助成金も積極活用!
中小企業においては、健康経営の予算の確保が難しい場合もあるでしょう。その際は助成金を活用するのも良いでしょう。
ストレスチェック助成金や受動喫煙防止対策助成金、小規模事業場産業医活動助成金など、中小企業が活用できる助成金制度も多いです。
雇用人数に上限がある制度もありますので、詳しくはこちらの記事をご確認ください。
4.協会けんぽや自治体、企業のサポートも活用する
中小企業の人事・労務の担当者は、健康経営の体制づくりのための時間確保が難しいこともあるでしょう。また、社内に健康経営に関するノウハウがない場合も多いです。
その際は、外部のサポートを活用しましょう。
例えば、協会けんぽ栃木支部の「とちぎ健康経営宣言」では、以下のようなサポートが受けられます。
- 社外への健康宣言が簡単に行える
- 自社の課題や問題点がわかりやすい「事業所健康度診断(カルテ)」を作成してもらえる
- 健康経営に関わるメールマガジンや広報誌が受け取れる
- 対外的にアピールできるロゴの使用ができる 等
また、健康経営アドバイザーが所属している企業に健康経営のサポートをしてもらうのも良いでしょう。
健康経営アドバイザーとは、東京商工会議所が経済産業省からの委託を受け運営している資格で、企業の健康経営に必要な情報を提供し、健康経営を成功へ導く推進者です。
medimentでは健康経営アドバイザーが多数在籍しており、細やかな伴走支援にご好評をいただいております。
サービス内容については以下の資料に詳しく記載しておりますので、ぜひご覧ください。
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健康経営に取り組んでいる中小企業の具体的事例をご紹介!
以下は、実際に健康経営に取り組んでいる中小企業様の具体的な事例集です。
個々の取り組みをコンクール形式にして表彰をおこなうなど、従業員が楽しく積極的に参加できるように工夫している会社も多いです。 健康経営の実施は難しいことではなく、コストをかけずに気軽にはじめられる取り組みもたくさんあります。自社の規模や業態に近い企業様の事例を参考にして、取り組みをイメージしてみましょう。
今回は健康経営優良法人取り組み事例集より、健康経営に取り組んでいる中小企業を3社ピックアップし、表でご紹介します。
【中小企業の健康経営事例①】笠間製本印刷
株式会社笠間製本印刷は、代表取締役や管理者が率先して、健康経営を呼びかけています。
【中小企業の健康経営事例②】ナガオ株式会社
ナガオ株式会社はセルフチェックシステムの導入等により、10年間で0.5%という離職率の低さを実現しています。
【中小企業の健康経営事例③】丸善土木株式会社
丸善土木株式会社は、従業員のみならずその家族も健康になれるような取り組みをおこなっています。
中小企業の健康経営は企業の発展に欠かせない!できることからはじめよう
中小企業の健康経営は、企業発展のためにも、リスクマネジメントのためにも、欠かせない施策です。しかし取り組みには労力もかかりますし、結果がでるまでの時間も必要です。
そのため無理はせず、自社の中でできる取り組みから始めていただくことをおすすめします。
その取り組みは「投資」となり、将来の企業の発展に貢献するでしょう。