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労働衛生コンサルタントとは?業務内容や取得方法について詳しく解説

労働衛生コンサルタントとは、職場の労働衛生を最適化するための専門家のことで、厚生労働大臣に認められた国家資格でもあります。この記事では、労働衛生コンサルタントの概要や業務内容、似た職種との違い、取得方法について詳しく解説します。


目次[非表示]

  1. 1.労働衛生コンサルタントとは
  2. 2.労働衛生コンサルタントと似た職種の違い
  3. 3.労働衛生コンサルタント試験について
  4. 4.労働衛生コンサルタントを活用するメリット
  5. 5.労働衛生コンサルタントの活用によって衛生状況を最適化しましょう


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労働衛生コンサルタントとは

まずは、労働衛生コンサルタントの概要についてご説明します。


労働衛生コンサルタントの業務内容

労働衛生コンサルタントとは、安全衛生法に基づいて創設された国家資格です。労働衛生のスペシャリストであり、事業所における労働衛生の水準向上のため、問題点の指摘や指導をおこないます。

一部、安全衛生コンサルタントと重複する業務もありますが、主な業務としては、以下が挙げられます。

  • 安全衛生診断
  • リスクアセスメント
  • (第12次労働災害防止計画における)労働災害を防止するための諸施策の実施支援
  • 災害調査
  • 安全衛生教育
  • 安全衛生管理のしくみの構築、管理のための諸規程の点検や作成
  • 労働安全衛生マネジメントシステムの構築、及び内部監査支援
  • 衛生管理者業務(労働衛生コンサルタント)

引用:職場のあんぜんサイト|厚生労働省


「労働衛生に関する状況把握や、それに応じた指導、教育などを手掛ける専門家」と考えるとわかりやすいでしょう。


労働衛生コンサルタントと似た職種の違い

労働衛生コンサルタントには、いくつか似た職種が存在します。ここからは、産業医や衛生管理者など、労働衛生コンサルタントと似た職種との違いについてご紹介します。


労働安全コンサルタントとの違い

労働安全コンサルタントは、労働衛生コンサルタントともっとも似た職種です。厚生労働省が管轄する国家資格でもあります。

労働安全コンサルタントはその名のとおり、事業所の安全性を確認したうえで、指導や提案などをおこなう専門家のことです。主に労働災害の発生時や、作業環境の改善時などに活用します。

業務内容も似ているため混同されがちですが、

  • 労働安全コンサルタント:主に安全性について確認する職種
  • 労働衛生コンサルタント:主に衛生状態について確認する職種

と覚えておくと良いでしょう。


産業医との違い

労働衛生コンサルタントと産業医の違いは大きく3点あります。
1点目は、選任の法的義務についてです。産業医は50人以上の従業員が働く事業所では必ず設置する必要がありますが、労働衛生コンサルタントに選任の義務はありません。
2点目は、業務内容についてです。産業医は主に従業員の健康診断やストレスチェック、面談などが主な業務となる一方で、労働衛生コンサルタントは衛生指導のみが求められます。
そして3点目は、必要な資格についてです。産業医は医師免許を所持している必要があるものの、労働衛生コンサルタントにおいては、労働衛生コンサルタントの資格以外は特に必要ありません。


選任の法的義務

業務内容

必要な資格        

産業医

50人以上の従業員が働く事業所では設置が必須

健康診断やストレスチェック、面談など

医師免許

労働衛生コンサルタント

なし(任意での選任)

職場における衛生指導

労働衛生コンサルタント資格


2つの職種は異なったものであり、労働衛生コンサルタントは産業医の代わりにはならないため注意が必要です。


産業医については以下の記事で詳しく解説しています。

  産業医とは? 選任義務・役割や業務内容・探し方などを簡単に解説! 安衛法第13条に基づき、常時50人以上の労働者を雇う場合は産業医の選任が義務づけられています。 産業医の設置を初めて実施する人事労務担当者に向け、産業医の選任条件や役割、業務内容、探し方と契約方法、費用相場などをわかりやすく解説します。 mediment(メディメント)


衛生管理者との違い

衛生管理者とは、職場の衛生環境を管理し、労働者の健康を守る専門家です。主に、衛生委員会の運営や作業場の巡視などをおこないます。

労働衛生コンサルタントと名前が少し似ていますが、選任の法的義務に違いがあります。先述の通り、労働衛生コンサルタントに選任の法的義務はありません。

一方、衛生管理者は、常時50人以上の労働者を使用する事業者においては、その事業場所属の衛生管理者を選任する必要があります。

労働衛生コンサルタント

任意での選任

衛生管理者                                                             

常時50人以上の労働者を使用する事業者においては、その事業場所属の衛生管理者を選任する必要あり


なお、衛生管理者は業種によって必要な資格が異なるほか、事業場の労働者数によっては人数を増やす必要があります。


衛生管理者について詳しくは、以下の記事を参考にしてみてください。

  衛生管理者とは?資格取得の難易度や仕事内容・選任基準をわかりやすく解説 従業員の安全や健康面の改善、会社全体の生産性向上に向けた取り組みとして、従業員が50人以上の企業には「衛生管理者」の設置が義務付けられています。 当記事では事業者目線で、衛生管理者の役割や選任基準・必要資格・取得方法などを解説します。 mediment(メディメント)


安全管理者との違い

安全管理者とは、安全装置や機器の定期点検や整備、発生した災害の原因調査などをおこなう専門家です。

労働衛生コンサルタントとの違いは、選任の法的義務にあります。常時50人以上の労働者を使用する以下の事業者において、安全管理者の選任義務が生じます。

安全管理者の選任が必要な業種

林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。 ) 、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業


また、衛生管理者と同様に、事業場の労働者数によっては人数を増やす必要があります。

安全管理者と衛生管理者の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

  安全管理者と衛生管理者の違いって?職務や必要な選任資格について解説! 労働安全衛生法により、事業所は労働者の人数に応じて、安全管理者や衛生管理者などを選任しなければなりません。 当記事では、安全管理者と衛生管理者の違いや職務、必要な選任資格を解説します。 mediment(メディメント)


労働衛生コンサルタント試験について

労働衛生コンサルタントになるには、国家資格である「労働衛生コンサルタント資格」を取得する必要があります。


試験の概要

労働衛生コンサルタント試験の概要は、以下のとおりです。


労働衛生コンサルタント試験の概要

試験内容

筆記試験と口述試験

試験区分

保健衛生か労働衛生工学のいずれかを選択

出願方法

郵送または「安全衛生技術試験協会本部」への持参により受験申請書を提出

試験手数料

24,700円(非課税)


労働衛生コンサルタント試験には、筆記試験と口述試験があります。ただし、口述試験は筆記試験合格者のみが受験できるため、まずは筆記試験の合格を目指しましょう。

出願方法は、「安全衛生技術支援協会本部」に受験申請書を提出した後に、試験手数料24,700円を振り込むことで完了します。

試験日程の確認や受験申請書の請求は、安全衛生技術試験協会のホームページをチェックしてみてください。


受験資格

労働衛生コンサルタント試験は誰でも受験できるわけではなく、受験資格が定められています。「大学において理科系統の過程を修めて卒業したもので、その後5年以上衛生の実務に従事した経験を持つ者」や、「薬剤師、医師などの免許を持つ者」など、受験資格の要項は多岐にわたります。

ここでは、27ある受験資格のうち、学歴や職歴に関するもののみを抜粋して紹介しますので、参考にしてください。

1

学校教育法による大学(短期大学を除く。)若しくは旧大学令による大学又は旧専門学校令による専門学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後5年以上衛生の実務【注1】に従事した経験を有するもの

2

学校教育法による短期大学(同法による専門職大学の前期課程(以下「専門職大学前期課程」という。)を含む。)又は高等専門学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者(専門職大学前期課程にあっては、修了した者)で、その後7年以上衛生の実務に従事した経験を有するもの

3

学校教育法による高等学校又は中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後10年以上衛生の実務に従事した経験を有するもの

4

医師法(昭和23年法律第201号)第9条の医師国家試験に合格した者、同法第36条第1項の規定により医師免許を受けた者とみなされた者及び同法第41条の規定により医師免許を受けることができる者

5

歯科医師法(昭和23年法律第202号)第9条の歯科医師国家試験に合格した者、同法第33条第1項の規定により歯科医師免許を受けた者とみなされた者及び同法第42条の規定により歯科医師免許を受けることができる者

6

薬剤師

7

保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第2条の保健師として10年以上その業務に従事した者

8

保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第2条の保健師として10年以上その業務に従事した者

9

建築士法(昭和25 年法律第 202 号)第4条第2項に規定する一級建築士の免許を受けることができる者

引用:公益財団法人安全衛生技術試験協会


また、労働衛生コンサルタント試験では、所持している資格によっては、受験科目の免除を受けられます。たとえば、医師免許や歯科医師免許を所持している者は、保健衛生区分の全科目を免除できます。
詳しい受験資格や科目の免除資格については、労働衛生技術試験協会のホームページを参考にしてください。


試験の難易度

労働衛生コンサルタント試験の難易度は高めで、取得は難しいといえます。2022年度の合格率は24.4%でした。
労働衛生コンサルタント試験は専門知識と実務スキルの両方を評価されるため、その分難易度も高く設定されていると考えられます。受験する際には、十分に準備をしてから試験に臨むと良いでしょう。


労働衛生コンサルタントを活用するメリット

労働衛生コンサルタントを導入するメリットは、社内では発見できなかった問題を明確にしたうえで、有効で効果的な方法を教えてもらえる点です。

たとえば労働基準監督署の是正勧告を受けた場合は、改善指導を依頼することで、安全な職場環境を整備することができます。ほかにも、安全衛生上の問題を速やかに解決したい場合や、安全衛生教育の講師の選定に悩んでいる場合などにも有効です。

必要な際に、必要な事項について専門家の指導を受けられることは、大きなメリットといえるでしょう。


労働衛生コンサルタントの活用によって衛生状況を最適化しましょう

労働衛生コンサルタントは労働衛生のスペシャリストであり、事業所における衛生面の問題点の指摘や指導をおこなう専門家のことです。

産業医などとは異なり、法律上の選任の義務はありません。しかし、労働衛生コンサルタントを活用すれば、社内では気がつかなかった問題を明確にしたり、安全衛生上の問題を速やかに解決したりできます。

労働衛生コンサルタントの活用によって、事業所における衛生状況の最適化に取り組んでみましょう。


以下の資料では、安全衛生教育の種類や実施方法について図でわかりやすく解説しています。ぜひお役立てください。

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監修者情報

三浦 那美(メディフォン株式会社産業看護師/第一種衛生管理者)

看護師として大学病院の内科混合病院にて心疾患や糖尿病、膠原病などの患者対応業務に従事。その後、看護師問診や海外赴任向けの予防接種を行っているクリニックに転職。これら医療機関での経験を通じ、予防医療やグローバルな医療提供の重要性を感じ、メディフォンに入社。現在は、産業看護師として健康管理システム「mediment」のオペレーション業務やコンテンツ企画を担当。

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