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メンタルヘルスとは心の健康! 職場での対策や代表的な精神疾患を解説

「メンタルヘルス」というとネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、実際は「心の健康」を意味するポジティブな言葉です。

本記事では人事労務担当者に向け、メンタルヘルスの定義やメンタルヘルス不調、メンタルヘルス対策などについて詳しく解説します。


目次[非表示]

  1. 1.「メンタルヘルス」とは?  WHOの定義を確認
  2. 2.メンタルヘルス対策が注目されている背景2つ
  3. 3.「メンタルヘルス不調」とは? 精神疾患と不調サインについても解説
  4. 4.心の不調を訴える労働者が増加! メンタルヘルス対策の実施は急務
  5. 5.メンタルヘルス対策をおこなうメリット5つ
  6. 6.メンタルヘルス対策を促進するための「4つのメンタルヘルスケア」
  7. 7.メンタルヘルスケアの具体的な進め方4ステップ
  8. 8.メンタルヘルス対策に取り組んでいる企業事例2選
  9. 9.メンタルヘルス対策をおこなう際はプライバシーに要注意!
  10. 10.テレワークなど新しい働き方に対するメンタルヘルスケアも忘れずに!
  11. 11.メンタルヘルス=心の健康! 不調の未然防止・早期発見が重要


「メンタルヘルス」とは?  WHOの定義を確認

まずは世界保健機関(WHO)や厚生労働省の定義を踏まえた上で、「メンタルヘルス」への理解を深めていきましょう。


メンタルヘルスとは「心の健康」のこと

メンタルヘルスとは、英語のMental(訳:精神的な)とHealth(訳:健康)に由来し、直訳すると「心の健康」を意味します。

職場では、「メンタルヘルス不調」「メンタルヘルスケア」「メンタルヘルス対策」といった関連用語を使うケースが多いでしょう。

世界保健機関(WHO)では、メンタルヘルスを「すべての個人が自らの可能性を認識し、生命の通常のストレスに対処し、生産的かつ効果的に働き、コミュニティに貢献することができる健全な状態」と定義しています(※)。

(※)参考:公益社団法人日本看護協会 ICN 所信声明「メンタルヘルス」

メンタルヘルスはポジティブな意味を持つ単語であるため、精神的な不安を表す際に誤って使わないよう注意しましょう。


「心の健康」とは4つの要素からなる

厚生労働省では「心の健康はいきいきと自分らしく生きるための重要な条件である」とし、具体的な要素として次の4つを挙げています。

  • 情緒的健康:自分の感情に気づいて表現できること
  • 知的健康:状況に応じて適切に考え、現実的な問題解決ができること
  • 社会的健康:他人や社会と建設的でよい関係を築けること
  • 人間的健康:人生の目的や意義を見出し、主体的に人生を選択すること


心の健康には、個人の資質や能力のほかに、身体状況・社会経済状況・対人関係などが強く関係しています。

心の健康を保つには、適度な運動やバランスのとれた食生活、十分な睡眠、加えてストレスと上手につきあうことが必要不可欠です。


メンタルヘルス対策が注目されている背景2つ

メンタルヘルスへの対策が注目されている背景は、主に2つです。それぞれについて解説します。


精神障害の労災申請・認定件数はともに増加

厚生労働省が出している令和4年度の「過労死等の労災補償状況」によると、2022年の精神障害の労災請求は2,683件でした。

2018年の1,820件と比べると、約1.4倍に増えています。
労災決定件数も比例して増えており、メンタルヘルス不調への早急な対策が求められていることがわかります。


2015年にストレスチェックが義務化

2015年の労働安全衛生法改正により、従業員50名以上の事業場でのストレスチェックが義務化されました。

ストレスチェックは、従業員が自分のストレスの原因や状況を把握し、メンタルヘルス不調を未然に防止するのが目的です。

企業としては高ストレス者へは産業医面談を勧めるなど、メンタルヘルス対策をおこなう必要性が出てきました。


「メンタルヘルス不調」とは? 精神疾患と不調サインについても解説

職場内で使われる場合が多い「メンタルヘルス不調」について、厚生労働省では次のように定義しています。

精神及び行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活及び生活の質に影響を与える可能性のある精神的及び行動上の問題を幅広く含むもの

引用:厚生労働省 用語解説「メンタルヘルス不調」


うつ病や睡眠障害といった病名のついた状態だけではなく、病名のつかない「悩み」や「不安感」などもメンタルヘルス不調に含まれます。



メンタルヘルス不調者の復職支援については、こちらのお役立ち資料で詳しく解説しています。

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では実際に、代表的な精神疾患や職場における不調サインの具体例を見ていきましょう。


精神疾患によるメンタルヘルス不調の例①うつ病

うつ病とは、「脳のエネルギーが欠乏した状態」をいい、気分障害の一つとされています。以下のような症状が現れたら、うつ病である可能性が高いです。

  • 憂うつな気分が続く、何をしても楽しめない
  • 食欲、睡眠欲、性欲などの意欲が低下する
  • ものの見方や考え方が否定的になる

感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じていると考えられており、日本では100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているといわれています。


精神疾患によるメンタルヘルス不調の例②睡眠障害

不眠症・過眠症といった睡眠に関連した多様な病気を、まとめて「睡眠障害」と呼びます。睡眠障害のなかで最も多いのが「不眠症」で、以下の症状が認められると不眠症と診断されるケースが多いです。

  • 長期間にわたり夜間の不眠が続く
  • 日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する

実は日本人の5人に1人が「何らかの不眠がある」と回答しており、不眠症は国民病と呼ばれるくらい身近な病気といえます。


精神疾患によるメンタルヘルス不調の例③パニック障害・不安障害

精神的な不安から、心と体にさまざまな不快な変化が起きる「不安障害」。不安障害といっても多様な病気があり、その一つが「パニック障害」です。

パニック障害とは、突然理由もなくパニック発作を起こし、生活に支障が出てしまう状態をいいます。


<パニック発作の症例>

  • 激しい不安に襲われる
  • 動悸がする、心拍数があがる
  • 手足が震える
  • 息切れ、呼吸困難
  • めまい、ふらつき


    「また発作が起きたらどうしよう」という予期不安も現れ、生活範囲が制限される人が後を絶ちません。パニック障害は、100人に1人くらいの割合で起きるといわれています。


    精神疾患によるメンタルヘルス不調の例④依存症

    特定の物質(アルコール・薬物)や行為(ギャンブル・ゲームなど)に対して、やめたくてもやめられない状態を「依存症」といいます。

    依存症になると、仕事を休んだり借金をしたりするなど日常生活に悪影響を及ぼすようになるため、早めの受診が必要です。

    • アルコール依存症:約10万人
    • 薬物依存症:約1万人
    • ギャンブルなどの依存症:約3千人

    上記は病院で治療を受けている人数ですが、本人も依存症だと気づいていないことが多く、患者数と治療者数の間に大きな差が生じているのが実情です。


    遅刻や服装の乱れにも注意! 不調サインは行動や体調の変化にも現れる

    メンタルヘルス不調は、行動や体調にも顕著に現れます。職場における不調サインの例を見ていきましょう。


    行動の変化

    • ミスや物忘れが多い(本人の自覚症状なし)
    • 以前より表情が暗くなった
    • イライラしたり怒りっぽくなる
    • 飲酒、喫煙量が増えた
    • 周囲との交流を避けるようになる(挨拶や発言が減るなど)
    • 何度も確かめないと気がすまない
    • 他人の言動を異常に気にする
    • 不満、トラブルが増えた(周囲との折り合いが悪くなる)
    • すぐに席を立っていなくなる
    • 服装が乱れてきた
    • 欠勤、遅刻、早退が増えた
    • 急に仕事を投げ出す


    体調の変化

    • 肩こりや頭痛、腹痛、腰痛などの痛みを訴える
    • めまいや耳鳴りを訴える
    • あくびやクマが目立つ(または睡眠不足を訴える)
    • 下痢や便秘によりトイレの回数が増えた
    • 食べる量が減った(または食べすぎている)
    • 急にやせた(または太った)
    • 体に不自然な傷がある
    • ケガが増えた

    本人に自覚症状がないまま不調サインを出している可能性もあります。

    同じ職場で働く人同士で日頃から互いの言動を気にかけつつ、些細な変化にも気づけるようにしましょう。


    心の不調を訴える労働者が増加! メンタルヘルス対策の実施は急務

    2021年に「世界では約2億8000万人がうつ病を患っている」とWHOが公表しました。日本国内でも、心の不調を訴える労働者が増えています。

    メンタルヘルス不調の現状と対策について、詳しく見ていきましょう。


    メンタルヘルス不調の現状【厚生労働省の調査結果】

    厚生労働省の調査によると、心の病気で病院に通院や入院をしている人は国内で約420万人(2017年)にのぼるとされ、日本人の約30人に1人が何らかの精神障害に苦しんでいます。

    	①精神障害に係る労災請求件数の推移

    引用:厚生労働省(※)


    精神障害に係る労災請求件数では、2021年に過去最多の2,346件を更新しました。2017年の1,732件と比較すると約1.35倍となっており、ここ近年、増加傾向にあります。

    	②仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合

    引用:厚生労働省(※)


    	⑪「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる」内訳

    画像出典元:厚生労働省(※)


    2021年には労働者の53.3%が、仕事や職業生活において強い不安、悩み、ストレスを感じているという結果が出ています。最も多い原因は「仕事量」で43.2%です。

    メンタルヘルス不調の背景には、職場における人間関係やハラスメント、長時間労働などさまざまな要因があります。

    労働環境の適正化や人間関係の改善といった、職場のストレス要因を軽減するための対策は必要不可欠といえるでしょう。

    (※)令和3年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況


    職場におけるメンタルヘルス対策【概要・実施の必要性】

    厚生労働省が掲げる「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上とする」という目標に対し(※1)、2021年は59.2%と未だ十分な状態とはいえません(※2)。


    厚生労働省では、労働安全衛生法に基づいて「労働者の健康保持増進のための指針」を定め、職場のメンタルヘルス対策に対する基本的な考え方を周知しています。


    <職場におけるメンタルヘルス対策の3本柱>

    • 一次予防: メンタルヘルス不調の未然防止
    • 二次予防: メンタルヘルス不調の早期発見と適切な対応
    • 三次予防:メンタルヘルス不調者の職場復帰支援


    対策の取り組みは、その実施目的から上記3つに分類されます。

    職場におけるメンタルヘルス対策は事業者の社会的責任であり、職場全体で取り組むことが重要です。

    (※1)第13次労働災害防止計画

    (※2)令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況


    職場におけるメンタルヘルス対策については、以下の記事で詳しく解説しています。

      職場におけるメンタルヘルスとは?ケアを行うべき理由と具体策を紹介 近年、働く人の約6割が仕事で強いストレスや不安を感じているといわれ、職場におけるメンタルヘルス対策は大きな課題となっています。当記事では、職場における従業員のメンタルヘルスケアがどのように行われているのか、具体策もあわせて解説します。 mediment(メディメント)



    ストレスチェック制度もメンタルヘルス対策のひとつ!

    ストレスチェック制度は、ストレス状態を把握することでメンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的としています。

    一次予防(未然防止)のための仕組みに位置づけられ、2015年12月より、労働者数50人以上の事業場ではストレスチェックの実施が義務です。

    メンタルヘルス不調は労働者だけでなく、職場や企業、社会全体に大きな影響を及ぼします。実施が努力義務とされている小規模事業場も含め、全ての労働者に受検してもらうのが望ましいでしょう。


    ストレスチェックを実施するメリットや手順については、以下の記事で詳しく解説しています。

      ストレスチェック制度完全マニュアル~概要から実施方法まで徹底解説~ 2015年12月より、労働安全衛生法第66条の10に基づいて、一定規模を超える事業場に対して、ストレスチェックの実施が義務付けられました。 この記事では、ストレスチェック制度の概要や、実施マニュアルにのっとったストレスチェックの実施方法を解説していきます。 mediment(メディメント)


    メンタルヘルス対策をおこなうメリット5つ

    企業がメンタルヘルス対策に取り組むメリットは主に以下の5つです。

    • 生産性の上昇
    • リスクマネジメントができる
    • 離職率の低下
    • 企業の業績アップ
    • 採用力の強化

    メンタルヘルス対策をおこなうことで、従業員の心が健康に保たれ、仕事へもやる気が出てきます。生産性が上がると企業の業績も上がることが期待できます。

    従業員が生き生きと働いていて業績が上がっている企業は求職者にとって魅力的に映り、採用力の強化にもつながるでしょう。

    また、リスクマネジメントの観点からもメンタルヘルス不調による集中力・判断力の低下で事故が発生するのを防げます。

    精神疾患を患い休職者や離職者が出ると、金銭的損失や労災請求のリスクもあります。
    このように、メンタルヘルス対策は従業員にとっても企業にとっても、大きなメリットとなるのです。


    メンタルヘルス対策を促進するための「4つのメンタルヘルスケア」

    メンタルヘルス対策を実施しようと思っても、実際には「誰が、何にを取り組めばいいのか」と悩んでしまうケースがほとんどでしょう。

    そこでポイントとなるのが、「実施主体による分類」です。

    	④メンタルヘルス対策の全体像

    引用:厚生労働省「事業場におけるメンタルヘルス対策の取組事例集」


    厚生労働省では、実施主体(誰が取り組むのか)の観点から、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の4つに分類し、具体的な取り組み内容を明示しています。

    メンタルヘルス対策を効果的に進めるためには、4つのケアを継続的かつ計画的に実施することが重要です。


    4つのメンタルヘルスケア【概要】

    4つのケアについて、それぞれの概要は次のとおりです。

    セルフケア
    労働者が自らのストレスに気付き、予防対処するためのケア
    例:ストレスチェック受検
    ラインによるケア

    管理監督者(部長や課長)が部下をケア

    例:職場改善、部下からの相談対応 など

    事業所内の産業保健スタッフ等によるケア

    産業医や人事労務管理スタッフが労働者(管理監督者を含む)をケア

    例:健康相談への対応、職場復帰の支援

    事業場外資源によるケア

    会社以外の専門的な機関や専門家を活用したケア

    例:医療機関などの紹介ネットワークの形成


    それぞれの職場の実態に対し、4つのケアごとに取り組み内容を決めて改善を図りましょう。


    メンタルヘルス対策や4つのケアについて、より理解を深めたい方は以下の記事を参考にしてみてください。

      企業が取り組むべきメンタルヘルス対策とは?効果的に進めるポイントも紹介 近年、働く人の約6割が仕事や職業に関して強い不安やストレスなどを感じており、メンタルヘルス上の理由により、休職や退職しています。 本記事では、企業が従業員に対して安全で安心して働いてもらうためにできる、メンタルヘルス対策について詳しく解説します。 mediment(メディメント)


    「ラインケア」の徹底でメンタル不調の未然防止&早期発見が可能に

    	⑤メンタルヘルス不調を抱えた労働者の把握方法

    引用:厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策の推進について」


    メンタルヘルス不調を抱えた労働者の把握方法を問う調査では、「上司又は同僚労働者等の情報」が63.7%で最多となりました。

    加えて、「令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」 によると、ストレスを相談できる人に「上司・同僚」を挙げる労働者が7割以上にのぼることからも、「ラインによるケア」の重要性は極めて高いといえます。


    <ラインケアのポイント>

    • 相手の立場に立って相談を聴く
    • 産業医と連携する
    • 職場改善は5つのステップで行う

    人事労務担当者もラインケアへの理解を深め、管理監督者の支援をおこなうのが望ましいでしょう。


    上記のほか、ラインケアの詳細については以下の記事で解説しています。

      メンタルヘルス対策におけるラインケアのポイントとは?|必要性やメリットを解説! 近年、メンタルヘルス不調の従業員が増え、企業は慎重な対応を求められています。管理監督者が行うラインケアは企業が直接、従業員に働きかけるメンタルヘルス対策です。本記事では、人事・労務担当者に向けラインケアのポイントやメリットを解説しています。 mediment(メディメント)


    メンタルヘルスケアの具体的な進め方4ステップ

    メンタルヘルスケアの進め方については、厚生労働省の「職場における心の健康づくり」の中で示されています。
    具体的には4つのステップに沿って提示されていますので、それぞれのステップを解説

    しています。

    	メンタルヘルスケアの具体的な進め方

    引用:厚生労働省の「職場における心の健康づくり」


    (1)メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供

    従業員や管理職など、それぞれの職務に応じた研修・情報提供を実施します。例えば従業員にはセルフケアの方法、管理職には自身ストレスへの対応に加え、部下のメンタルヘルス対応などです。


    (2)職場環境等の把握と改善

    ストレスチェック等を活用し、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防止します。また、結果をもとに職場環境の把握・改善に努めます。
    他にも従業員へのヒアリング等をおこなうのも良いでしょう。どちらも継続的におこなうことが重要です。


    (3)メンタルヘルス不調への気付きと対応

    どれだけ予防対策をおこなっていても、メンタル不調者が発生することもあるでしょう。その場合は、早期発見と適切な対応が重要です。
    そのためには、以下の3つの体制を整備しましょう。

    • 労働者による自発的な相談とセルフチェック
    • 管理監督者、事業場内産業保健スタッフ等による相談対応
    • 労働者の家族による気付きや支援 等

    メンタルヘルス不調に陥って一番辛いのは、従業員自身です。悪化するとうつ病や他の精神疾患に罹る可能性も高まってしまいます。
    事態がより深刻になる前に、できるだけ早く従業員の異変に気付き、専門家につなぐことが重要です。


    (4)職場復帰における支援

    メンタルヘルス不調による休職者が問題なく復帰するためには、職場復帰支援プログラムの策定が有効です。
    休職者が戻りやすい雰囲気にするためにも、社内体制を整備しましょう。


    職場復帰支援プログラムについては、以下の記事で詳しく解説しています。

      職場復帰支援プログラムの手引き|ひな形や復職事例も詳しく紹介 メンタルヘルスの不調による休職者が増える昨今、職場復帰支援は企業にとって必要不可欠な制度となっています。 この記事は、企業が職業復帰支援プログラムを作成するための手引きであり、プログラムの内容やひな形、復職事例までわかりやすく解説しています。 mediment(メディメント)


    メンタルヘルス対策に取り組んでいる企業事例2選

    では実際に自社でどのようにメンタルヘルス対策に取り組めばいいのか、悩む担当者の方も多いでしょう。

    今回は、健康経営と職場復帰支援プログラムに取り組んでいる2社の事例をご紹介します。
    他の企業の取り組みについては、厚生労働省「職場のメンタルヘルス対策の取組事例」もご覧ください。豊富な事例を業種や従業員数、取り組み事例別に検索できます。


    亜木津工業株式会社

    亜木津工業株式会社(大阪府東大阪市)は、一般産業用のゴムやプラスチック、スポンジやジョイントシートの加工製造と販売をおこなう会社です。

    自社の製造現場で被災者が数か月に渡る入院をする重大な労働災害が起こったのを機に、職場環境の改善に取り組み始めました。

    中小企業の製造業としては初の労働安全衛生マネジメントシステムISO45001の認証を取得し、次のステージに進むため、健康経営に乗り出しました。


    【具体的な取り組み】

    • 時間単位での有給休暇制度
    • 一定時刻になると自動的にパソコンを停止させるシステムの導入
    • 定期的な上司との面談実施
    • 50人未満の事業所も含む全事業所でのストレスチェックの実施
    • 管理監督者へのメンタルヘルスマネジメント検定の受験推奨
    • 専務によるメンタルヘルスの講習会の実施


    株式会社ニットー

    株式会社ニットー(長野県須坂市)は、メンタルヘルス不調で休業していた従業員の職場復帰を機に、職場復帰支援プログラムの策定をはじめました。

    完全復帰までは、総務課の担当者が休業していた従業員と毎日顔を合わせるようにするなど、中小企業だからこそできる丁寧な対応でコミュニケーションを取っています。
    メンタルヘルス不調者はいるものの、メンタルヘルス不調が原因で退職した従業員はいません。


    【具体的な取り組み】

    • きめ細やかな職場復帰支援プログラムの策定
    • メンタルヘルスに関する情報の発信
    • メンタルヘルス研修を実施
    • 部課長職の兼務をなくして役職に専念できる体制を整備


    メンタルヘルス対策をおこなう際はプライバシーに要注意!

    企業でメンタルヘルス対策に取り組む際は、個人情報の取扱いには注意が必要です。
    従業員の健康情報を閲覧できる担当者を明確に決めておくなど、配慮のある対応が求められます。

    また、ストレスチェックで得たデータをもとに、企業が従業員に対して不利益な取扱いをすることは禁じられています。不当な配置転換・退職勧奨・解雇などが不利益な取扱いにあたります。

    適切なメンタルヘルス対策をおこなっていない場合は安全配慮義務違反に問われる可能性もありますので、十分注意しましょう。


    テレワークなど新しい働き方に対するメンタルヘルスケアも忘れずに!

    近年では「テレワーク」の導入が進み、場所や時間にとらわれない働き方が多くの企業でできるようになりました。

    しかし一方で、以下に代表されるテレワークによる心身の不調を訴える労働者が増加傾向にあります。

    • 仕事のオン、オフの切り替えが難しい
    • コミュニケーション不足
    • 家庭環境がテレワークに適さない

    このほかにも、テレワークにおける悩みや不調はさまざまです。それぞれの職場の実態に合ったメンタルヘルス対策を講じていきましょう。


    テレワークにおけるメンタルヘルス対策については、以下の記事で解説しています。ぜひご覧ください。

      テレワークのメンタルヘルス対策とは?|原因や対応ポイント・注意点を解説! 近年、テレワークが拡大しプラス面が多い一方、メンタルヘルス不調が新たな課題となっています。この記事では、人事・労務担当者に向けて、テレワークのメンタルヘルス対策方法について説明します。 mediment(メディメント)


    メンタルヘルス=心の健康! 不調の未然防止・早期発見が重要

    メンタルヘルスとは「心の健康」を意味し、近年では多くの企業でメンタルヘルスの不調を訴える労働者が増えてきています。

    ハラスメントや長時間労働などがストレス要因となるため、労働環境の適正化や人間関係の改善といった、職場におけるメンタルヘルス対策を適切に講じましょう。

    メンタルヘルス不調は未然防止・早期発見が大切です。ストレスチェックの実施など、取り入れやすい対策から始めてみてください。



    メンタルヘルス不調者の復職支援については、こちらのお役立ち資料で詳しく解説しています。

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    さらに「mediment(メディメント)」では、ストレスチェックのデータ管理・結果分析・健康課題の自動抽出が行えます。職場改善を図る際に、ぜひご活用ください。

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    mediment
    mediment(メディメント)は、従業員のあらゆる健康データを一元管理し、産業保健業務の効率化を支援するクラウドシステムです。 クラウドシステムならではの多彩な機能で、あらゆる業務のペーパーレス化を実現し、従業員のパフォーマンス向上に貢献します。

    監修者情報

    三浦 那美(メディフォン株式会社産業看護師/第一種衛生管理者)

    看護師として大学病院の内科混合病院にて心疾患や糖尿病、膠原病などの患者対応業務に従事。その後、看護師問診や海外赴任向けの予防接種を行っているクリニックに転職。これら医療機関での経験を通じ、予防医療やグローバルな医療提供の重要性を感じ、メディフォンに入社。現在は、産業看護師として健康管理システム「mediment」のオペレーション業務やコンテンツ企画を担当。

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